劇団東俳50周年記念公演 むげん工房「法廷の銃声」(THEATRE1010)


劇団東俳50周年記念公演 '14劇団東俳むげん工房

「法廷の銃声」

(原作:リチャード・スペイト、演出:釜紹人)

11月21日(金)〜11月24日(月・休)に、シアター1010で全7ステージ上演されたうち、23日の昼の部を見た。

劇場に着くと、50周年記念公演とあってか、藤野珠美さんがもぎりをしながら、お客さんを迎えていたのが印象的。


公演プログラムは、700円。

他にも、新川優愛グッズや、客演のひとのグッズ、東俳Tシャツなどなどの物販があったり、この公演のDVDの予約を受け付けていたりもしていて、劇団東俳も以前とはずい分変わって来たなぁ、と改めて感じるところがあった。

座席は、1階2列(実質的な最前列)。

午後1時30分開演。ロビーに掲示されていた上演時間は、第一幕50分、休憩15分、第二幕1時間15分。そのあと(終演後すぐ)に、新川優愛のアフタートーク、というのを毎公演やっていたようで、これが、7〜8分程度。所見のステージは、アフタートークが終わったのが、4時5分ぐらいだった。

アフタートークは、司会者(一ノ瀬と名乗っていたので、演出助手のひとでしょうね)、新川さん、共演者からのゲスト1名(この回は東久美子さん)が、幕前に立ったままで行われ、公演の裏話がちょっとと、あとは新川グッズや物販コーナーのPR。一ノ瀬さんいわく、このトーク新川優愛さんが着て登場する東俳Tシャツが、終演後はよく売れるとか。


さて、「法廷の銃声」は、今回が4演目になるが、初演からは20年を経たとのこと。私が見た前回公演(3演目)は、2008年6月で、やはり、むげん工房としての公演だった。

劇団東俳の自主公演というと、レパートリー化している演目を数年おきに上演することも多いが、なかみは全く同じではなく、同じ演目でも上演のたびに手が入るようだ。今回の「法廷の銃声」もしかりで、劇場が変わり、演出家も替わっただけでなく、台本もけっこう加除修正があった模様。(っていうか、結末がちがってない?そもそも、原作の小説ではどう書かれているのだろうか。絶版状態の本だと思うが、機会があったら読んでみたい)

ウェンディーの母・キャロルやロジャース一家に寄り添う友人の牧師が今回も登場するが、2008年公演ほどには宗教的な方向へは傾いて行かないのはよかった。

2008年公演では、被害者の少女・ウェンディー・ロジャース&その友だち役で子役が出演(1ステージ5人×ダブルキャスト)していたが、今回の舞台では、子役はウェンディー・ロジャース(大澤実環)のみで、その友だち役は登場せず、その代わりに、ウェンディーの兄・ジェフリー(鈴木翔吾)の演劇部仲間が3人登場していた。
サラ・ジョンソン(新川優愛)、メグ・エルズベリー(平本亜夢)、ジョディー・ホワイト(倉持聖菜)の3人で、サラは演劇部の稽古シーンで「ロミオとジュリエット」のジュリエットを演じる場面が少しある。メグは部長で、ジェフリーのガールフレンド。ジョディーはメガネっ娘で、第一幕で傍聴席からのセリフがある。


この舞台は、場が多過ぎる(2幕34場。とくに第1幕は、約50分の上演時間なのに、22場もある)と思うのだが、転換の仕方に工夫があっておもしろい。法廷場面では、舞台後方に左右に分かれたひな壇状の傍聴席が組まれていて、そこにズラッと、関係者や報道陣、裁判の傍聴人が座って客席と正対して、これがなかなかのインパクト。

その傍聴席には、演劇部の女子トリオも並んで座っていて、3人は、一幕のフランク・ジョーダン(桝井賢斗)が被告の裁判では下手側に、二幕のキャロル・ロジャース(雛形あきこ)が被告の裁判では上手側に、と座る位置をかえていた。また、ふたつの裁判での季節のちがいを上衣の有無などの服装のちがいで見せてもいた。
裁判シーンでは、お目当てのキャストが傍聴席にいれば、そちらを見ていても楽しめただろう。

この芝居は、娘を殺された母親・キャロル・ロジャース(雛形あきこ)が無罪になった犯人を射殺したことで、一転、被告の立場に立たされることになり、殺人犯の青年の母親であるベス・ジョーダン(菅原祥子)が、今度は息子を殺された被害者遺族になるという、ふたりの母親の立場の逆転があり、加えて、殺害犯の青年の弁護に携わっていたエレン・ヘイス(菊川陽子)が、次には、その青年を殺害したキャロルから弁護を依頼されるという、若い女性弁護士の振れ幅も大きい。エレン・ヘイスはシングルマザーという設定なので、この3人の母親の思いが交錯するドラマとしてつくられているところが、いちばんの見どころだ。

雛形あきこさんは、劇団東俳出身ということで今回の出演だったのだろうが、役者として上手いところを見せていて、記念公演の主演らしさが感じられた。上手いといえば、この舞台で、もっとも観客に上手いなと思わせたのは、菅原祥子さんでしょうね。前回公演では、エレン・ヘイスだったから、もし次回があれば、キャロル役になるかな?


カーテンコールの順番は、たしか、

最後が、雛形あきこ ← 新川優愛 ← 桝井賢斗 ← 甲斐政彦 ← 菅原&菊川 ←・・・・

役の軽重をいえば、首を傾げてしまうところもありますが、チラシでトップに並んでいた4人が、ひとりずつの登場だった。

余談だが、入場の際の配りものがファイルに入っているのは、うれしいな。