裏と表とコーヒーフロート
劇団ハーベスト第6回公演
「裏と表とコーヒーフロート」
脚本：小林佐千絵(劇団レトロノート)
演出：中村公平(劇団レトロノート)
7月30日(水)〜8月7日(木)まで、全16ステージあって、今回は、メンバー13人がコーヒーチームとフロートチームに分かれてのダブルキャストで、8ステージずつの上演。
会場は、ステージカフェ下北沢亭。ここは、1年前ぐらいにオープンしたらしいが、クレジットを参考に検索してみると、劇団俵屋総本店の持ち小屋で、その劇団の主宰者が運営しているスペース、のようだ。下北沢亭のホームページの写真を見ると、照明の効果もあるのか、なかなか洒落たスペースに見えるけれど、じっさいはかなり窮屈な感じ。観客は、外階段を上がって入場するかたち。1階には、レトロなおもちゃ屋があったりする。
客席は椅子を並べて4列で、キャパシティは、50人前後でしょうか。私は1列目に座ったが、2列目以降に座ると、前のお客さんでけっこう視界が遮られそう。客席と対面するステージ部分の下手横にはドリンクカウンターがあって、上手側には男女共用のレストルームがある。
「裏と表とコーヒーフロート」は、小さな喫茶店「利豆夢」が舞台なので、開演すると、下手側のドリンクカウンターが喫茶店の厨房として、ステージの一部にもなる。レストルームも芝居のなかで使用されるので、開演後はお客さんの使用は不可。
キャストは、8人。配役は、こうである。
名前は、左側がコーヒーチーム、右側がフロートチーム。
金山海咲(利豆夢のアルバイト。劇団を旗揚げしたい。高校時代は演劇部)： 布施日花梨・久保田紗友
舘岡潤(利豆夢のアルバイトで、演劇部時代の海咲の後輩。台本執筆中)： 松永ミチル・広瀬咲楽
伊集院さくら(潤とは大学のゼミ仲間。とってもお嬢さま育ち)： 鈴木悠巴・弓木菜生
藤堂真美(さくらのお世話係の新入社員。肩書は、いちおう匿名秘書)： 山本萌花(シングル)
山里香織(潤やさくらのゼミ仲間。密かにさくらへの対抗意識を燃やす)： 望月瑠菜・川畑光瑠
野々村りみ(利豆夢の常連客の女子高生。魔法少女マンガ「ポップハート」が大好きなマンガおたく)： 加藤梨里香・宮武佳央
金山風香(海咲の妹で、りみとはクラスメイト)： 青山美郷・高橋紗良
伊集院一男(さくらの兄で真美の上司。大企業の重役。舘岡潤に一目惚れ)： 錦織純平(微熱DANJI)＝ゲスト出演(シングル)
ダブルキャストではあるが、別チームのメンバーは開演前の物販に登場するので、メンバー全員を見ることは出来る。
野々村りみと舘岡潤は、開演前から舞台にいる。舘岡潤は、執筆中の台本を読み上げるかたちで、注意事項や上演時間などを客席へ伝える。
上演時間は、1時間30分余。途中休憩なし。
私が見た8月1日と5日のコーヒーチームのステージ(14時開演)は、どちらも終演後にアフタートークがあって、アフタートークが終わったのが、15時55分ぐらい。
小さな喫茶店・利豆夢に、乳母日傘で育った世間知らずのお嬢さま女子大生(伊集院さくら)がやって来る。自立したいという彼女の願いを手助けすることした利豆夢のバイト・海咲やさくらのゼミ仲間たちは、常連客の女子高生も巻き込んで、さくらが立派に喫茶店でアルバイトする姿をさくらの兄に見せるためにひと芝居打つことにしたのだったが、そんなところに、事情を全く知らない海咲の妹が飛び込んで来て、事態は波乱含みでそこから一気に終盤へ。
・・・といった感じのドタバタコメディなのだけれど、ドタバタを通して、女の子たちそれぞれが、胸に抱えていた思いを昇華したり、わだかまりが解けて仲良くなったり、一歩先へと踏み出したりする結末につなげて、そのあたりがウェルメイドな後味のよさ。
ただ、後半の展開のおもしろさに較べると、前半は登場人物や人間関係の説明と後半へ向けての伏線に割かれている。小スペースでの上演でキャストがほぼ目の前という条件がなければ、前半を退屈に感じていたかも知れない。
見ていて、気づいたり気になったりしたことのいくつか。
利豆夢というお店のテーブルの上にあるメニューが小さい。というか、芝居とはいえ、あのメニューの文字は小さ過ぎると思った。あれは、老眼だと読めないな、きっと。
「ウインナーコーヒー」は、あまりにもベタ(笑)。
利豆夢のお盆(トレイ)には滑り止めが付いていた。本番で、コーヒーフロートやアイスコーヒーを運ぶときにこぼしたら、大変だものね。1日のアフタートークで、稽古では、コーヒーフロートを3回ぶちまけた、といっていた。そのうち1回は手本を見せようとした演出家だったとのこと。
利豆夢の丸椅子のひとつの座面カバーに穴が開いていたのは、なかなかリアル。
『イラスト 松永ミチル』とあるので、「ポップハート」の表紙カバーイラストはそうだとして、あのマンガ本のなかみは何だろう？
青山美郷ちゃんの風香が着ていたTシャツが、1日と5日ではちがっていた(ソックスもちがっていたけど)。1日はハッピーハレイワで、5日はポパイだった。風香の衣裳のTシャツは何種類あったのか。
