ペテロの葬列


宮部みゆき「ペテロの葬列」(集英社、1800円+税)

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771532-3&mode=1


センシティビティ・トレーニングと悪徳商法の関係を扱ったミステリー。細部、というか、主人公のプライベートを含む枝葉的なエピソードの諸々はおもしろいのだけれど、主筋の展開がいささか納得しがたい。バスジャック犯の爺さんからの慰謝料に対して主人公がとったスタンスは許されるべきではないし(倫理的にも、この小説の探偵役としても)、結局、そのことが事件を面倒な方向へ導いている。

センシティビティ・トレーニングだとか、自己啓発セミナーとか、その類いが私は大嫌いなので、それらの「悪」を徹底的に糾弾して、溜飲が下がるようなものが読みたかったなぁ…。

杉村三郎は、今後、探偵になるのだろうか?それがいいと思う。


ところで、この本の巻末に、初出についてこんな記述がある。
『この作品は、二〇一〇年九月一二日〜一四年一〇月三日の期間、[中略(地方紙の名称)] など二二紙に順次掲載されたものに加筆修正したものです。』

これは、どういうことだろう?「一四年一〇月三日」って、来年の秋だけど、来年の10月まで連載する予定の新聞があるってこと?新聞によって掲載の期間が異なっていたようではあるが、まだ連載中の新聞があるのに、本になったの?まさか誤植じゃないよね?