源平六花撰


今月の文春文庫の新刊で、

奥山景布子「源平六花撰」(590円+税)

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167838881

が文庫になってますね。源平の女性を主人公にした短編が6つ収録されている模様。買ってみよう。


奥山景布子というひとは、もともとは日本文学の研究者で、2007年、オール讀物新人賞を受賞して作家デビューしている。

2011年に、中央公論新社から「時平の桜、菅公の梅」という小説が書き下ろしで出ていて、これが、おもしろかった。歌舞伎などの芝居からすると、藤原時平は悪いじじぃで、菅原道真は学問に優れた良いひと、というイメージだけれど、じっさいは、道真は時平からすると父親ぐらいに年上なのだよね。「時平の桜、菅公の梅」では、主人公の藤原時平を名門に生まれた凡庸な御曹司、菅原道真は融通の利かない学識おやじ、のようにえがきつつ、学問の流派や背景となる政争を絡めながら、歌舞伎芝居的な先入観が取り払われる作品になっていた。