芝居屋風雷紡 第七廻公演「蝶を夢む」(シアター711)
芝居屋風雷紡 第七廻公演「蝶を夢む」
脚本:吉水恭子、演出:横森文(トツゲキ倶楽部)
下北沢のシアター711で、8月13日(火)のステージを見た。午後7時開演。上演時間は、約2時間。この日の終演は、9時6分ぐらい。
ホームが地下になった下北沢駅に戸惑い、京王線の改札口へ出てしまって、本多劇場まで遠回りになった。「蝶を夢む」の公演会場はシアター711だが、あのあたりの劇場へ行くときは、本多劇場を起点にした地図を頭に入れているので、とりあえず本多劇場へ行かないとはじまらない。
ついでに、チラシスタンドから「蝶を夢む」のチラシを入手した。今回の美桜子役はチラシのセーラー服が舞台衣裳でもある。
シアター711での観劇は、はじめてだったが、劇場とは思えない建物だ。座席は40席ぐらいあったのだろうか。今回もまた、小スペースに、雰囲気のある、贅沢な空間がこしらえてあった。
開場になって、階段を上がって行くと、「廊下」の左右にキャストのスナップ写真などが貼ってあったので、しばらくながめる。こりっちには出ていない写真もいろいろ貼ってあった。
↓は、公開されている稽古場の写真から。
http://stage.corich.jp/img_troupe_photo/l/29902.jpg?1377912265
http://stage.corich.jp/img_troupe_photo/l/29897.jpg?1377912370
開演前の10分間ぐらい(?)だっただろうか、赤い薔薇の花と本を持った吉水雪乃ちゃんの美桜子が舞台に出て来て、揺り椅子に座っているので、その間、観客は、開演を待ちながら、セーラー服に白ソックス&ローファーの吉水雪乃ちゃんの中学生ルック(ただし、舞台に登場したときの設定はセリフによれば10歳なので、役柄では中学生ではないのかも知れないが)を鑑賞出来る。
「廊下」は舞台からは上手側になり、劇中はキャストが出入りに使う。とくに美桜子は足音を響かせてドアを開けて登場するなど、何度も登退場に使っていた。
シューベルトの「野ばら」や「魔王」、萩原朔太郎の「蝶を夢む」をモチーフに、戦後の旧華族家で「帝銀事件」を連想させる毒殺事件が起きる。召し使いら4人の女たちはなぜ死なねばならなかったのか、そして犯人とその動機は?というお話。
「墨を塗りつつ」は「犬神家の一族」っぽい設定、「今夜此処での一と殷盛り」は「八つ墓村」のテイスト。であれば、今回の「蝶を夢む」は「悪魔が来りて笛を吹く」的世界であろう。
事件とその後の警察の捜査(=現在)と、事件に到る戦前からの経緯(=過去)とが交互にえがかれて行き、犯人とその動機、そして未来形の事件の結末が示唆される、という展開で、割りとすんなり納得出来て、なかなか洒落た構成だった。ひとことでいってしまえば、娘を殺された母の報復、ということになるが。
前作に引き続き、詩を大声で朗誦する無能な探偵が出て来るが、今作でのダメっぷりは前作以上で、作者はどうしてこの探偵をあんな役回りで登場させるのか、というのはひとつの謎だ。
劇中で使われる葡萄が、なんだか、イヤにインパクトがあって、しばらく葡萄は食いたくない気分である。あれでは、手がベタベタで衣裳は汚れないのか、などという余計なことも気になる。