あつぎ舞台アカデミー公演「ドリーム・ドリーム・ドリーム〜season2〜」(厚木市文化会館 小ホール)


9月1日(土)、2日(日)は、厚木市文化会館 小ホールで、

平成24年度 厚木シアタープロジェクト
あつぎ舞台アカデミー公演「ドリーム・ドリーム・ドリーム〜season2〜」

(構成・演出:横内謙介 田島幸 田中信也、ダンス:ラッキィ池田 彩木エリ、歌唱指導:上野まり子)

を見た。

1日は、18時開演。2日は、14時開演。

上演時間は、1時間45分で、場内に掲出されていた通り。ただし、2日目は、アンコールがあって、オリジナルのテーマ曲「キズナの翼」がもういちどうたわれたので、その分、数分長くなった。途中休憩は、なし。


平成22年7月から本格開講されたというあつぎ舞台アカデミーのキッズパフォーマンスコース。第1回公演「ドリーム・ドリーム・ドリーム〜season1〜」は同じ会場で、ちょうど1年前に上演されている。3月には発表会があり、この「ドリーム・ドリーム・ドリーム〜season2〜」は、第2回公演となる。昨年の第1回公演よりも、公演回数が1ステージ増えて、上演時間も長くなったようである。

座席は、全席指定(大人1000円、小中学生500円)なので、開演前から並ぶ必要がないのが、いい。


出演は、あつぎ舞台アカデミー キッズパフォーマンスコースのメンバー、小学4年生〜中学2年生までの、34人。
(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20120715/p2)
内訳は、女子29人、男子5人。小学4年生3人、5年生7人、6年生11人、中学1年生6人、中学2年生7人。

(他に、大人の助演者がふたり出演していたのは、扉座の役者さんなのかな?)

なお、この、キッズパフォーマンスコースは、中学2年生までとなっているらしい。


ステージは、メンバーの子どもたちが書いた、夢をテーマにした作文をもとに構成したものとのことで、5つの短いお芝居の間にダンスと幕前の寸劇を挟んで進行し、最後はうた&テーマソングでフィナーレとなる。

最初に、子どもたちが客席通路に登場して、大玉送りのようなゲームがある。夏合宿の夜の子どもたちの夢、というかたちをとって開幕するが、その後は、この前提は曖昧になり、オムニバスのショーのように進む。

ダンスナンバーは全て群舞で、お芝居はいずれもショートコメディふうのパフォーマンスである。


「マリーアントワネット」は、天狗の呪文でマリー・アントワネットになったあかりちゃんは、喜んだのも束の間、革命が起こって危うし、というところで目が醒める。と、そこに、ゆめかちゃんが通りがかって「夢か」という落ち。

レッド、イエロー、ブルーの戦隊ヒーローふうの3人組が、困っている子どもたちを助けるために、時間を巻き戻してくれるのが「タイム巻き戻し隊」。たとえば、あのときすぐに謝っておけば喧嘩にならなかったのに…と後悔する女の子が、タイム巻き戻し隊に時間を巻き戻してもらい、過去に戻って、その場面をやり直す。劇中のセリフによれば、「タイム巻き戻し隊」は、昨年の公演にも登場したらしい。

タイム巻き戻し隊は、登場シーンで、衣裳の引き抜きがあった。矢野遥菜さんが演っていたブルーは「ぼく」といっていたから、男の子なのだろうか。

この「タイム巻き戻し隊」では、タイム巻き戻し隊よりも、舞台下手で楽器を演奏する4人の妖精さんのほうが、おいしいポジションのような気がしてならない。女の子は、ハンドベルを持っただけで、ポイントが急上昇。


まりもちゃんのロボット「ベタボメ君」は、出来の悪いまりもちゃんのことをいつでもベタボメしてくれるかわいいロボットだが、テストで99点をとって以来まりもちゃんは友だちからも称賛されて、ベタボメ君を必要としなくなる。ベタボメ君は家出するが、同じロボットのナグサメルちゃんに出会って気を取り直す。転校生に人気者の座を奪われてしまったまりもちゃんをベタボメして仲直り。と、まぁこんなお話。

まりもちゃんの33点の答案用紙で、まりもの「も」の字がまちがっていたのが、可笑しくて、妙にウケた。

「文房具の気持ち」は、擬人化された消しゴムと鉛筆とのりが、それぞれに文房具の悲哀を吐露する。「旅立ちの日に」がおもしろい。文房具って、筆箱組とお道具箱組に分かれているのか、と。私が子どもだったむかしむかしは、とくにそういう分け方はしなかったと思う。

この2編は、それぞれ、ベタボメ君役と消しゴム役の子が、作者としてもクレジットされているので、ふたりの書いたものやアイディアがほとんどそのまま採用されたと理解していいのかな。

「パパママ」では、何人かの子どもたちが自分の両親の出会いを演じて見せ、あるいは語ったりする。メインのキャストにとっては、事実(聞き取り)をもとにして、自分の親を演じるという、いわばノンフィクション(?)。


間に挟まれる幕前は、「アニマル・マイク」。司会の水澤さんと、アシスタントの内田さんが、動物と話せるマイクを使って、ゲストの動物とやり取りをする、いわばショートコント。犬、ワニ、インコ、猫と4回のシリーズになっている。ワニのときに、アシスタントの内田さんが長靴を履いて来たり、水澤さんがワニに食われて負傷したりと、変に細かいところや、シリーズを活かした連続性も楽しい。


ダンスナンバーのひとつに「厚木サンバ」というのがあって、これは何だろうと思ったら、2008年の厚木市文化会館開館30周年記念公演 音楽劇「リバーソング〜永遠のハックルベリィ・フィンたちへ〜」で登場したダンスナンバーのようである。
http://www.jafra.or.jp/j/library/letter/162/report.php


出演者のなかで、よかったと思うのは、喜代門紋さん。最初の天狗の役はちょっと上滑り気味だったけれど、ダンスは溌剌として目を惹いたし、音の妖精さんや友だち役と、脇でも活躍していた。

ベタボメ君の高橋栞音さんは、独特の愛嬌、持ち味があって、長編のお芝居をやるとしたら、ポイントになる役にぴったりなタイプ。タイム巻き戻し隊のレッド、加藤萌朝さんはアイドル的なルックスと雰囲気がある。

ベタボメ君といえば、2日目は、ソックスにリボンがついてた。あれはどうして(ベタボメ君というより、2日目はメインボーカルを務めたから、それ用の衣裳のアクセントとか…?)。


ステージや出演者のレベルはどうなのかといえば・・・

作・演出の横内謙介氏がそのブログに、
『歌とか踊りとか、もっと高い技術で、圧倒的な子供たちの見せ物は、きっと世の中にたくさんあります。
 でもこんだけ自然に、のびのびと何かを表現している子供の集団は希有なんじゃないか。
 大人にやらされているロボットでない、心地よさです。』
と、書いている通りだと思えばいいでしょう。


シャボン玉がけっこうすごかった。飛んで来たし。

チラシやパンフレットのイラストがかわいい。

ダンスナンバーの前後に出演のあるメンバーは、ダンスに途中から入るとかしていたみたいだったが、席位置の関係もあってか、そのあたりがよく分からなかった。