「演出術」を読んで、ひどいと思ったこと。


蜷川幸雄 長谷部浩 著「演出術」(ちくま文庫、1000円+税)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429469/


を読んだ。

過去ログのこれ(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20120713/p1)である。

インタビューとしては、とてもおもしろい内容なのだが、あまりにひどいまちがいがあると、読んでいて興醒めしてしまう。

今回の文庫版の刊行に当たっては、インタビューの増補や、(実質的な著者である長谷部浩氏による)加筆がされているのだが、シェイクスピアの章の「ハムレット」のところの加筆部分のまちがいは、ひどい。

こうである。

『蜷川には現在、五人のハムレットによる上演例がある。平幹二朗渡辺謙真田広之市村正親川口覚主演の舞台である。』と書き、2012年2月に上演された、さいたまネクスト・シアターの2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」のことまで加筆しているのに(文庫版の366〜367ページ)、日本での蜷川ハムレットとしてはもっと肝心なはずの、藤原竜也ハムレット(2003年にシアターコクーンで上演)を落としている。

失念というレベルを超えたまちがいだと思うが、校閲者も気づかなかったのだろうか。

もしこの文庫版が増刷される場合に、直るかどうかも気になる。