国立劇場第80回歌舞伎鑑賞教室「義経千本桜」〜渡海屋の場、大物浦の場〜


7月16日(土)に、国立劇場大劇場で、7月歌舞伎鑑賞教室を観劇。

午前10時30分開演の回。


国立劇場へ行くときは、たいてい、池袋経由で有楽町線を使って永田町駅から歩くことが多いのだが、とにかく暑いので、あまり歩かなくて済むように、電車で有楽町まで行き、そこからタクシーに乗った。帰りは、国立劇場前からタクシーに乗って、日生劇場前まで(窓口でチケットを引き取った)。


国立劇場7月歌舞伎鑑賞教室の演目は、

解説「歌舞伎のみかた」(25分)
 休憩(20分)
義経千本桜〜渡海屋の場、大物浦の場〜」(1時間55分)

公演プログラムは、入場の際に無料配付。


渡海屋、大物浦の子役(銀平娘お安実は安徳帝)は、藤間大河・石井晏璃の交互出演。


ダブルキャストのひとりが御曹司なので、主催者に問い合わせてみたところ、1日2回公演で基本的に2回目に大河くんが出演する(ただし、日曜日はそうでない日もある)とのことだったので、石井晏璃ちゃんのミカドを見るには逆をとって、この日の1回目のほうを買った訳である。

座席は、1等席の2階だったが、花道のほぼ真上の席で、ここならよいかな、と。1階席には高校生の団体が2校(だったと思う)入っていた。


「歌舞伎のみかた」は、解説役の尾上松也がまずは客席通路からの登場。運動会や紅白歌合戦の白組・赤組の由来が源平合戦によることから話をはじめて、ツケや黒衣、浄瑠璃や黒御簾音楽、魚尽くしのセリフについてなど、手馴れて、堂に入った解説ぶり。回り舞台や、迫り、すっぽんなど舞台機構の解説はなかったが、それらは今回の渡海屋、大物浦では使われないからか。

歌舞伎では、男性も女性も男の役者が演じるが、子役だけは女の子でもいいんです、といった松也丈、続けて、このあと安徳帝を演じるのも女の子で、めありちゃん(といってすぐいい直し)「あめり」ちゃんです。と、これから出演する子役を「歌舞伎のみかた」のなかで告知していたよ。今月は、すごいな。

解説の後半は、渡海屋、大物浦のあらすじや登場人物を、スクリーンにイラストや写真を映しながらの説明。安徳帝の絵がかわいくて、あのポストカードとかが欲しかったな、と(売ればいいのに)。


義経千本桜」の渡海屋、大物浦を見るのは、久し振りだったが、つくづく、子役がいいと舞台がおもしろい、と思った。こんな面白い渡海屋、大物浦は、この先、ふたたび見られないかも知れない。

あめりちゃんは、いい声だし、「渡海屋」でお安から直った安徳天皇の座した姿に、それらしさがあった。またしばらくは歌舞伎に出るのだとしたら、菅秀才や鶴千代も演って見せて欲しいところである。

義経千本桜」のお安実は安徳帝という役は、幼帝が渡海屋の娘に身をやつしているのだが、そのお安は男の子が女の子を装ってもいる訳で、ここに面白さがあるのだが、女の子の子役が演じると、さらに観客の頭のなかでは設定が三重層化することになる。そういうことからも、この役は、女の子が演じると意味深長になるので、歌舞伎らしいのではないかと思っている。


船頭実は郎党たちの手にする松明の本火が、ボワボワ燃えていた。


主な出演は、

尾上松緑(渡海屋銀平実は新中納言知盛)、坂東亀三郎(相模五郎)、尾上松也(九郎判官義経)、坂東亀寿(入江丹蔵)、市川團蔵(武蔵坊弁慶)、中村魁春(銀平女房お柳実は典侍の局)

四天王:菊市郎(亀井)、菊史郎(片岡)、富志郎(伊勢)、宇十郎(駿河)
郎党:寿鴻、松太郎、勘之丞、玉雪、功一、國矢
官女:歌女之丞、春花、扇緑、梅之助、菊三呂、徳松