無題


今般の、市川海老蔵事件には、あきれたを通り越して、もううんざりで、歌舞伎を見たいという気持ちが、すっかりなくなりました。これまで、やりたい放題を許して来た、そんな、歌舞伎界のあり方にも疑問を感じます。


そもそも、私は、劇場に足を運んで歌舞伎を見た最初が、新之助時代の海老蔵主演の舞台でしたし、歌舞伎座ではじめて歌舞伎を見たのも(当時)新之助の実盛物語。もちろん、そのとき舞台に出ていた子役を見たかったのだとはいえ、あの「宮本武蔵」や「実盛物語」がなかったら、その後も歌舞伎や歌舞伎の子役に多くの関心を持ち続けることはなかったはず。

そんなふうに歌舞伎を見るようになり、彼の舞台を少なからず楽しんでいた自分が、いまとなっては恥ずかしく、観客として愚かだったと思わざるを得ません。過去の観劇の記憶や思い出はそれとして、これを機会に、観客としての私自身の今後を考え直さずにはいられない心境です。