恋ばば 十四歳!(シアターグリーン BIG TREE THEATER)


8月6日(金)に、池袋・シアターグリーン BIG TREE THEATER で、

宮武美桜 主演の舞台「恋ばば 十四歳!」
(原作:薗田正弘、脚本:千葉美鈴、演出:山本和夫、演出補:森岡利行)

を見た。

午後7時開演。上演時間は、休憩なしの1時間50分、とのことだったが、所見の回は、終演が9時直前くらいであった。

公演パンフレット、1000円。


この小劇場(シアターグリーン BIG TREE THEATER)での観劇は、2度目で、過去には、2008年9月に(いまは活動休止中の)常笑気流歌劇団の公演「永夏〜トコナツ〜」を見たことがある。今回は、そのときとほとんど同じ席位置で、かなり前方のほぼ真ん中の席だったから、シーンによっては、役者がものすごく近い。

79歳の静江おばあちゃんが、雨のときだけ14歳に若返り、昭和の地味顔アイドル・雨宮しずくとなって人気を得るが、静江は余命3か月を宣告されており、しずくは、梅雨の終わりとともに引退を決意する。

というファンタジックな設定を、いかにもストレイドッグらしいテンポとノリ、笑いをともないつつ進行する舞台は、「演出:山本和夫」とはあるが、「演出補:森岡利行」の影響が少なからず、との印象だ。

静江が14歳だったときを戦時中に設定することで、65年前の戦争末期という時代へ想いを馳せ、しずくの活躍の場を芸能界とすることで、アイドル論的な視点を見え隠れさせているのが、面白い。

また、単に、ヒロインを79歳の老女(橘実里)と14歳の少女(宮武美桜)として、ふたりの女優に担わせただけでなく、14歳のヒロインを演じる宮武美桜は、79歳だが姿だけ14歳の少女、姿も中身も14歳だが戦時中を生きている少女、アイドル・雨宮しずくとしてのショーアップシーンと、3タイプを演じ分ける趣向になっていて、そこに、演劇的な見どころがある。

戦時中の14歳の静江と傘職人・謙太郎(加藤慶祐)の関係が倒錯的で、しかし、同時にある種の普遍的な関係性でもあって、見ていて惹かれるものがあった。


だけど、(メインキャスト4人いずれかの)サイン入りパンフレットを販売しているのに(買おうとしたら、サイン入りはいかがですかと勧められ、断わる理由もないので素直にサイン入りを買った)、劇中で、アイドルのサインをマネージャーに書かせたらダメでしょう(笑)。

越路吹雪のサインは岩谷時子さんが書いていたのだといわれているが、これなら本人が書いてなくても価値が高いよね。私もいちど拝んでみたい(笑)。ミュージカルファンにとっては「岩谷時子」のほうに意味があるから…。