'10劇団東俳レモン劇場「夢のうらしま物語」


'10劇団東俳レモン劇場「夢のうらしま物語」


5月1日(土)に、A班を2ステージ観劇。

注目のオートル(小野緒芽)とチートル(千葉真子)の親子亀が、かわいかった。茶色くて、甲羅もある!(って、カメだからだけど)

乙姫(池田愛)にヒロインらしい華があるのと、声を張らないのにセリフが明瞭で、それがお姫様らしくて役にハマっていた。シュタイン総理大臣(朝倉萌江)とペリー警備隊長(嶋田あさひ)の上手さも貴重。


昔話の「浦島太郎」をベースに、+αの設定をいろいろと盛り込んだストーリーはなかみが濃く、また、竜宮や平和会議に集まる海の生きものたちのキャラクターがおもしろくて、期待以上に楽しんで見た。

乙姫は人間で、船が沈没して死ぬはずだったのが、かつて鶴を助けたことがあったために、海のなかで生きることが許されたという立場。その乙姫は平和主義者なのだが、暴れもののサメ、キング・ジョーズ(石井佑宜)の強引な求婚に悩まされている。

オートルとチートルの親子亀が、チートルを助けてくれた優しい人間・浦島太郎(平本亜夢)を竜宮城へ招待するのも、じつは乙姫の意を受けての行動。乙姫と結婚した浦島太郎が、乙姫と海の平和を守るために強くなるという成長譚が織り込まれ、それが芝居の見どころのひとつなのだが、太郎はキング・ジョーズの攻撃を受け切って、なおかつ彼を捕らえるという専守防衛的戦いをして、決して暴力を肯定しないつくりになっているなど、細かい工夫が感じられ、好感が持てる。終盤、浦島太郎が地上へ戻ると、今日の世相を映した「現代」になっている。最後、玉手箱を開けた太郎は鶴としての命を与えられて、再び乙姫と結ばれる。


竜宮城へやって来た浦島太郎を歓迎して、魚たちによる踊りが披露されるが、春・夏・秋・冬と四季の踊りが終わると、あっという間に、海の世界での1年が経ってしまう。オートル、チートル、警備隊長の「カメ、カメ、トビウオ」トリオによる夏の踊りも楽しさいっぱいだ。

後半で、カニたちが演じた劇中劇のうた(「あわて床屋」)が、耳に残る。ちょうちんあんこうのあん子がウサギに扮するのがおもしろく、…ちょっきん ちょっきん ちょっきんな。

おもしろかったといえば、ギョッ(魚)っておどろくのや、タイの総理大臣が「だいそれた」を「タイそれた」といっていたのが、個人的にはかなりウケた。


ところで、あの敵役のキング・ジョーズを、12、3歳の男の子がもっともらしく演じるのは簡単じゃないと思う。それに、キング・ジョーズ役は、五郎役のむかし+現代もあるから、実質3役を演じている訳だ。なかなか上手い。

観劇したA班公演では、上に名前を挙げた出演者のほかに、キング・ジョーズの3番目の子分・エイドリアン(千成雄)に味があったのと、「大人」の2役をそれらしく演じた太郎の両親役のふたり(今井真一、丹冴夏)が印象的。


それにしても、2日間のこととはいえ、これ(上演時間1時間45分、途中休憩10分)を1日に3ステージずつやるのって・・・すごいよ。


小野緒芽ちゃんは、やっぱりいいね!千葉真子ちゃんは、なにげない表情に愛嬌がある。浦島太郎に渡した、水の中でも息が出来るようになる薬というの、あれ、美味しいものかな?(笑)