野球を学問する


桑田真澄 平田竹男「野球を学問する」(新潮社、1300円+税)


桑田真澄修士論文と主査(教授)の解説が読めるのかと、発売前にはそう思い込んでいたのだが、買ってみれば、なかみは両者による対談。桑田真澄早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学する経緯から、どんな大学院生活を送り、いかなる研究をしたのかというお話。あっという間に読める。

件の大学院は、社会人を対象にした募集で、修士課程だが1年のコース。


今日にまで続く、体罰、連帯責任、後輩いじめ、あるいは質よりも量を重視する長時間練習。そんな日本野球の悪しき伝統を培って来たおおもとの思想が、飛田穂州の「野球道」にあり、穂州が戦時中に、敵性スポーツとされた野球を擁護するために唱えた精神主義が、戦後になっても脈々と受け継がれたものだとするあたりの話は、とても面白い。

桑田氏の野球人生の部分では、PL学園への進学を希望しても学校が認めず(他の高校からもスカウトが来ていて、桑田進学を条件にチームメイトもまとめてとってくれるというので、中学校側は彼をそちらの高校へ行かせたがった)、結局、中学を転校してPL学園に進学したというエピソードが、すさまじい。