グレイ・ガーデンズ 12/3


12月3日(木)に、シアタークリエで、

グレイ・ガーデンズ

を観劇。初日(11/7)、2日目(11/8)、11/18夜に続いて、4度目。

グレイ・ガーデンズ」を見るのはこの日で終わりのはずだったが、もう1回分チケットを買ったので、まだ12/5昼がある。


12月3日は、夜の部のみで、6時30分開演。

出演の子役は、

ジャクリーン・ブーヴィエ: 黒沢ともよ

リー・ブーヴィエ: 大下夕華


観劇翌日の12月4日付で、東宝公式サイトに、満席のため当日券で場内後方に補助席(7500円)を出す、との告知が載ったが、この3日はまだ補助席は出ていなくて、そのかわり、立見のひとが6、7人いた。
立見は、いくらで売っていたのだろう?


開演前に、日比谷シャンテの宝塚ショップで月刊「ミュージカル」(12月号)を立ち読みしたら、黒沢ともよちゃんと大下夕華ちゃんが写っている舞台写真(小さいけど)が載っていたので、購入(820円)。


ミュージカル「グレイ・ガーデンズ」では、第二幕での、ゴミ猫屋敷に母娘がほとんど引きこもり状態、にまで陥る要因、あるいは遠因とでもいうべきものを、第一幕のリトル・イディの婚約パーティーの日の出来事に凝縮して観客に提示していて、その第一幕がとても上手く創られているのが、この作品の妙。(第二幕も、一日の出来事としてえがかれているのだよね。というか、第一幕の1941年のシーンは、はっきり「回想」として演出されているから、一、二幕を通して、一日のことともいえるのかな)

イーディス(大竹しのぶ)と、その父・ブーヴィエ少佐(光枝明彦)との親子の間にある、女性の生き方をめぐっての深い溝。イーディスを悩ませる別居中の夫との不和。母としてリトル・イディ(彩乃かなみ)の婚約を祝福したいと思いながらも、破綻が決定的な自身の夫婦関係の行き詰まりと、娘への嫉妬から、リトル・イディの婚約をぶち壊すイーディス。似たもの同士ゆえに、母親から逃れようともがくリトル・イディ。

イーディスの父親であるブーヴィエ少佐は、女の生き方はいい男をつかまえて結婚することと考えている人物で、子役が演じるジャッキー&リーの姉妹は、いずれ、大統領夫人になり、海運王と結婚し、あるいはポーランドの大公の妻となるなど、ともにいちどならず結婚して、ブーヴィエ少佐のうたう「頼れるものは結婚だ」を実現する訳だから、まだ子どもだったこのふたりを第一幕に登場させることで、同じブーヴィエ少佐の孫娘であるリトル・イディの行く末を対照的に見せることになり、おもしろい。

黒沢ともよちゃんのジャッキーが、リトル・イディの婚約者であるジョー(川久保拓司)に色目を使ったりするが全く相手にされず、それを大下夕華ちゃんの妹が見ていて笑うところは、一幕の見どころのひとつ。で、ジャッキーは後に、そのジョーの弟であるケネディ家の次男と結婚して、大統領夫人になったのに較べ、第二幕のリトル・イディ(大竹しのぶ)がそのセリフで、(ジョーを含めて)私と踊った男はみんな戦争で死んだ、というのもまた、何という対照だろうか。


対照といえば、この舞台では、イーディスの専属ピアニストで作曲家でもあるグールド(吉野圭吾)にスマートだが頽廃的な存在感があって、彼をかけがえのない人物として抱えているイーディスの生き方と、ブーヴィエ少佐の価値観とのちがいを鮮明にもしている。

ゲイのことをいうのに「パンジー」という俗語があるのを、この舞台ではじめて知ったが、このグールドはもともと、イーディスの息子たち(舞台には登場しない)の家庭教師として雇われたらしい。…「パンジー」を男の子の家庭教師(それも住み込み)にするって大丈夫なのか?(と思ってしまうが)


第一幕で、ブーヴィエ少佐が、(イーディスには)財産は譲らない、全部戦時国債にするとかいうところは、聴いていてどうにも腹立たしい。娘にあげればいいのに、いやな親だな(と思う私は、断固イーディスを支持する)。


戦時国債といえば、第二幕の「自由のマーチ」の、

♪心をひとつにして、守り固めろ〜 進め、進め、進んで買いましょう戦時国債

とかいうあの面白いうた、あれ、本当に戦時中にヒットしたの?ジョセフ・ケネディが戦死したとき、葬儀でうたわれたというのは、事実なの?

いや、それよりも、である。この「自由のマーチ」というナンバー、ブロードウェイ版の(CDに収録されている)歌詞と日本語の訳詞の内容が、まるでちがってない?(このシーンは、ものすごく面白いのだけれど、この訳詞は、かなり謎)


グレイ・ガーデンズ」の公演プログラムには、ミュージカルナンバーの日本語歌詞が載っていないのが、残念。「自由のマーチ」の他にも、『メシだ メシだ 朝飯だ 召し上がれ』とか、うたってみたくなるナンバーや、文字で読んで確認してみたい歌詞がある。


それにしても、黒沢ともよちゃんが、ミュージカルの舞台でこんなにうたうのは、はじめてではないだろうか。こんなにといっても、ソロとなると、いわゆるちびソロしかないのだけれど。でも、これまでに黒沢ともよちゃんは東宝ミュージカルで各地の劇場に出演しているが、「モーツァルト!」はセリフもうたもなし、「マリー・アントワネット」はセリフがあってもマイクなしだったから。(東宝系の舞台だと「新・美空ひばり物語」は生でうたっていたのかな?)

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