川中美幸特別公演「幸せの行方 お鳥見女房」(明治座) 初日


10月3日(土)に、明治座で、

川中美幸特別公演「幸せの行方 お鳥見女房」/パワフル美幸 オンステージ 人・うた・心

を見たので、以下、雑感(は、あくまでも初日を見てのもの)。

「幸せの行方 お鳥見女房」に出演の子役について(&上演時間)は、すでに書いたとおり。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20091004/p1
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20091009/p4

主な配役は、↓に加筆済み。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090816/p1


3日は、11時開演。明治座に着くと、「高橋光臣受付」が出ていた。明治座のエントランスに俳優個人の受付があるのはめずらしい気がした。(近年、特撮ヒーローものに出ていた役者さんは集客力があるのかな?)


「幸せの行方 お鳥見女房」(金子良次 脚本・演出)

は、原作である諸田玲子「お鳥見女房」シリーズに忠実な劇化が、まず、うれしい。

主人公の矢島珠世(川中美幸)が4人の母であり、すでに孫(嫁いだ長女の子)もいるなど矢島家の家族構成はもちろん、石塚源太夫(山崎銀之丞)の子どもたちも原作どおりに5人いて、主な登場人物の設定や配置も原作にしたがっている。小説「お鳥見女房」シリーズを読んでいても、違和感なく娯楽劇として楽しめる。

劇化に際して、下手に原作をいじってしまうケースも少なくないのに、そうはせず、原作を大事にした筋立てで、そのエッセンスを活かした舞台になっている。

ほとんど幕を下ろさずに、回り舞台を使った転換が続く。この演出は、出色。場の余韻を残しながら舞台を回して、テンポのよさも加わったストーリー展開。幕前芝居で転換をつなぐことが多い明治座公演ではめったに味わえないダイナミックな爽快感であった。


メインストーリーは、敵同士だった石塚源太夫と沢井多津(三原じゅん子)が揃って矢島家の居候となり、過去のいきさつを越えて結ばれるまでと、お鳥見役の裏の任務である隠密働きを命じられて沼津に赴いた珠世の夫(=婿)・矢島伴之助(藤堂新二)が、次男・久之助(高橋光臣)と石塚源太夫の助力を得て、無事に帰還するまで。

これに、原作でいうと、源太夫の次男・源次郎が行方不明になる「石榴の絵馬」と、愚痴をこぼしに実家を訪れた長女・幸江(野々村のん)のおめでたに珠世が気付く「裸嫁」のエピソードが織り込まれている。

二幕での石塚源太夫の立ち回りは、シーンとしては短いが、なかなかの見せ場。


当初、私は、もっとホームドラマ部分が強調された舞台になるかと予想していたのだが、むしろ、時代物らしい躍動感のほうに見どころがあった。

主演は、主人公である珠世のイメージにぴったり。ただ、役柄としては、ストーリーを牽引するヒロインではないし、いわゆる捌き役的な立ち位置でもない。珠世自身は事件の渦中には踏み込まず、家族や、親しい人物たちに降りかかる事件を受けとめ、見守り、あるいは待つ、という役どころなので、受けの芝居が求められている。ピラミッド型のトップに立つ主役ではなく、周りのキャストの演技を受けとめて束ねる、いわば「扇の要」のポジションであって、そのむずかしさも感じられた。


子役たちは総じてナチュラルで、素のまま、といった感じの子もいて、それがこの舞台の雰囲気には似合っている。

最後は、矢島家と石塚家の家族が勢揃いで、幕が下りる。キツネの面の雪ちゃんが客席には大ウケであった。


「パワフル美幸 オンステージ 人・うた・心」(宮下康仁 構成・演出)

では、途中、川中美幸さんが、お客さんからのプレゼントを受け取る時間(コーナー)があるのだが、そこでの、他の多数の観客をも退屈させない機知に富んだしゃべりに感心してしまう。

本火の松明など印象的な演出があった他、共演の和楽器トリオ、「打花打火」という女性3人組の演奏も、一見の価値あり。
(打花打火は、→http://ameblo.jp/daka2)


ところで、休憩中に、客席で応援グッズや飴を売って回ったり、歌謡ショー「人・うた・心」の前に、「美幸ちゃん、初日、おめでとう」の「おめでとう」をみんなでいって下さいと、お客さんに練習までさせていた、あの方たちはいったい何者でしょうか?(…スタッフ?後援会とかの幹部のひと?)


話は変わるが、明治座前の歩道の銀杏、何とかして欲しい。秋になると匂いがひど過ぎなので、この時期は、浜町駅は使わずに、人形町駅を利用すること必至である。