朝日新聞の劇評


上演中の「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」(PARCO劇場で、7/5〜8/9まで)

昨日(7月21日付)の朝日新聞夕刊に(扇田昭彦 筆)の劇評が載っていた。

自分の芸術をかたくなに守るスーラをめぐる現実の不協和音と彼が絵の中に作り出す調和の世界。そのずれと矛盾は多くの芸術家にとって切実なものだろう。絵画の点描の手法を音楽で表すなど、ソンドハイムの作曲は精妙で才気にあふれている。登場人物たちが活人画風に位置を決めて大作が完成する1幕の終わりは感動的だ。』(同記事より引用)

このミュージカルの日本初演は87年、東宝製作で「ジョージの恋人」というタイトルだったとのこと。(東宝が上演していたのは知らなかった…)

なお、掲載の舞台写真は、読売新聞の評にあったのと同じもの。
 →http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090710/p2(読売新聞の劇評など)



[以下、追記]

以前に買った、扇田昭彦「ミュージカルの時代」(キネマ旬報社、2000年8月初版)を見てみたら、そのなかで扇田氏は「ジョージの恋人」についてこんなことを書いていた。

画家ジョルジュ・スーラーを主役にした一幕は音楽面でも、視覚的趣向という点でも実に優れた作品だったが、対照的にスーラーの曽孫である現代の前衛芸術家を主人公にした二幕は面白くなかった。一幕にあふれていた鋭い才気と喜劇性が、現代のアメリカとフランスを舞台にした二幕ではなぜか失われ、平凡なものになっていた。』(195ページ)

今回の朝日の劇評でも、2幕を『1幕の濃密さに比べると、描き方が表層的。』としていて、氏のこの作品に対する見方は変わっていないことが分かる。