「Last Dance, First Song」プレビュー公演


六行会ホールで、

「Last Dance, First Song」
(脚本:柴田尚、演出:砂川幸子、振付:小暮清貴)

を観劇。

6月16日(火)午後3時開演のプレビュー公演で、上演時間は、約1時間40分。途中、休憩なし。

プログラム・配役表は、無料配布(座席に置いてあった)。

プレビュー公演のお客さんは、客席の前半分くらいの入りだった。


配役: 

千春 富田麻帆(サンズエンタテインメント)
ダンサー 寺元健一郎(東宝ミュージカルアカデミーアドバンス)
菊江 池田昌子(ストローハウス)
サクラ 布川美生(東宝芸能)
千秋(千春の兄) 高舛裕一(東宝ミュージカルアカデミーアドバンス)
日暮 小暮清貴(ロックリバー)
少女 大下夕華(東宝ジュニア)


なんとなく音楽劇みたいな舞台を想像していたが、そうではなくて、うた(主人公とその子役がそれぞれうたう「First Song」)とダンスシーンはあるものの、ストレートプレイといっていい。うたも、マイクは使っていなかった(18日に見に行ったら、マイクを使っていた。セリフのときも入れていたかどうかは分からない)

歌手になる夢に挫折した千春(富田麻帆)が、引っ越して来たボロアパート。家賃激安のその部屋は、じつはいわく付きで、押入れには幽霊(寺元健一郎)が棲んでいる。幽霊の姿は、かつて彼が住んでいたその部屋に入居中の者にしか見えない。

約20年前、ダンサーを目指していた青年は、ミュージカル出演のチャンスを掴んだが、本番の舞台で転落事故が起き、死んでしまった。彼は、いまではすっかりおばちゃんになっているアパートの大家・菊江(池田昌子)に想いを寄せていたため、自分が舞台で踊るはずだったダンスを菊江の前で踊り切るまでは、成仏出来ないのだという。鬱陶しく思いつつも彼を無視出来ない千春は、やがて幽霊の願いを容れ、彼の代わりにそのダンスを菊江の前で踊るために、幽霊からダンスレッスンを受けることになる。

幽霊とのやり取り、写真家志望で隣室の住人・サクラ(布川美生)とのドタバタなど、コメディタッチで面白く運ぶ。幽霊青年のダンサー仲間だった過去を隠してアパートに住む日暮(小暮清貴)の存在がドラマの後半でスパイスになったり、兄・千秋(高舛裕一)との会話で引っ越し以前の千春の来し方を観客に分からせるなど、限られた登場人物にきちんと役割りを担わせていて、よく出来た作品で、楽しめる。

死んだ青年の夢を共有したことで、千春が自分の夢を取り戻すという展開。ありがちと思わなくはないが、結局、そこが安心して楽しめるポイントであり、また、設定が2020年なのに、ほとんど昭和のような雰囲気も、私には面白かった。


大下夕華ちゃんは、千春の少女時代の役。千春が歌手になりたいという夢を抱いたきっかけの、おじいちゃんとの思い出を演じて、1曲うたい、舞台の幕を開ける役どころ。出演は、この最初の幕前だけ。あとは、カーテンコールに登場。

大下夕華ちゃんのうた、途中で何かまちがえたのか、それとも声が上手く出なかったのか、ちょっと変なところがあったが、あれはどうしたのだろう? いずれにせよ、プレビューだった訳である。


ダンサーの幽霊青年を演じる寺元健一郎さんが、魅力的。ナイーブで甘い印象のルックスは、役や作品に恵まれたら、人気が出そう。踊りにもう少し役柄らしいシャープさが欲しい気もしたが、この舞台でそこまでの必要はないか。

富田麻帆さんは、見せ場のダンスシーンが、いい。


配布されたアンケート用紙に、戯曲「ラストダンス・ファーストソング」を読んだことがあるか? という項目があったが、どうすれば読めるのだろう。読みたいのだけれど…

なお、もう1回見る予定。
 [追記]→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090703/p3(6月18日14時開演)

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