すいとんメモリーズ(博品館劇場)


1月18日(日)は、博品館劇場で、

すいとんモリーズ」
(原案:海老名香葉子、監修:鴨下信一、脚本:東野ひろあき、演出:わかぎゑふ)

を観劇。午後1時開演。


博品館に着くと、どうしたことか、劇場へ行くエレベーターを待つひとが長蛇の列をつくって、外の歩道にずらっーと並んでいた。ぬいぐるみを見たりして、列がなくなるのを待っていたが、いつまで経ってもらちがあかないので、仕方なく並んで、やっと開演間際に客席へ。博品館劇場へ行くエレベーターは、開演前はたしかに混雑しやすいが、しかし、長い列に並ばないと乗れないというほどのケースははじめて。

客席は、千穐楽とあってか盛況で、補助席も並んでいた。


ロビー表示の上演時間は、15分の休憩込みで約2時間半となっていたが、東京公演の千秋楽とあって、カーテンコールでは出演者のあいさつや、オールキャストの紹介もあって、終演は、3時55分頃。

プログラム、300円。
あまりに安いしそれっぽくないので、入場のときは気づかず、売っていないのかと思った(このあと大阪公演もあるから売り切れるはずはないし)。休憩中に場内アナウンスがあったので(なかんだかりちゃんて子の声だったのかしら?)、買いに行った。


林家いっ平改め二代目林家三平襲名記念と銘打っての公演で、襲名を控えたいっ平が実父の三平を演じる座長公演である。ただし、芝居の筋としては、三平の妻になる香葉子(山田まりや)のほうに焦点を当てた内容で、香葉子の子ども時代〜三平の真打昇進が決まるまでの、いわば前半生を手際よくたどるかたち。小林十市が語り手として進行役を務める。

香葉子サイドからえがいているので、父を亡くした三平の立場や協会の分裂騒動、「正蔵」の名跡にかかわるややこしい経緯などには触らずに、香葉子の母(わかぎゑふ、演出も)と戦災で生き残った兄・喜三郎(伊東孝明)、香葉子の親代わりになる三遊亭金馬(渡辺正行)とその妻(水町レイコ)、三平の母(斉藤レイ)と、登場人物を両家の身内に絞り込み、他には、子役たちと呉服屋(東野ひろあき=脚本)が出るだけだ。

病に倒れたり、表向きは「妹」にされていた香葉子が、晴れて妻として披露され、長女の美どりと親子3人の絵面できまって、芝居はひとまず落着。そのあとに、林家いっ平の「みそ豆」(父・三平から唯一教わった噺とのことだ)が付く構成。


数年前に、新宿コマ劇場で、コロッケの演じる林家三平物語を見たことがあったが、それよりも、今回の「すいとんモリーズ」のほうが面白い。もちろん、アプローチの仕方も、劇場の大きさもちがう訳だが、少なくとも、三平のモノマネをしたら、コロッケよりも、いっ平のほうが断然笑える、さすがに実子である。


すいとんモリーズ」の子役は事前に発表のとおり。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20081025/p1

ただし、18日は東京公演の千秋楽なので、ダブルキャストの子役を両方とも出演させたとのことで、次のような配役だった。

8歳喜三郎:  千濱汰一

呉服屋の丁稚: 金子尚太郎

6歳香葉子:  藤原梨名

美どり:   吉野亜莉沙

11歳香葉子/はるこ: 仲村渠早苗


通常は、子役の喜三郎の子が二幕では丁稚を演じ、6歳の香葉子の子は二幕では美どり役、11歳の香葉子はシングルで、二幕は、食べ物を盗もうとしたところを香葉子にとどめられ、すいとんを食べさせてもらう少女・こうのはるこ役で出ていた。


カーテンコールはオールキャストで、子役は、下手側に仲村渠さん、他の4人は揃って上手側に並んでいた。林家いっ平さん、もしくは渡辺正行さんによって、出演者全員が紹介された。子役はそれぞれ自分で名前をいった。

藤原梨名ちゃんは、7歳だそうな(第一幕での6歳香葉子役で、「うん」て返事するセリフが妙にかわいい)。

カーテンコールでのキャスト紹介や、裏話の類はずい分と面白く、芝居そのものよりも楽しかったくらい。この日の本番で、役名の三平をまちがえて「いっ平」といった小林十市さんは、カーテンコールでもツッコまれていた。せっかくもう一回とリクエストされたのだから、もっと踊ればいいのに(同氏のブログを見ると、ずい分跳んでるのだし…)。


この「すいとんモリーズ」、チケットは全席指定7000円であったが、早い時期から割引きのチケットが続出し、2009円という大幅ディスカウントや、ペアで7000円のチケットも販売されるといった状況で、いくら良席とはいえ定価で購入したことにいささかの後悔は否めなかったのだが、しかし、出演の子役をワンステージで全員見ることが出来るという僥倖に恵まれもしたので、7000円の価値は充分あったとしたい。

なお、本職の落語家の噺を生で聴いたのは、私はこれがはじめてかも。