放浪記(シアタークリエ) 2月28日


2月28日(木)は、シアタークリエで「放浪記」を観劇。

午後1時開演。子役の行商人の子は、今津凪沙さんの出演。

シアタークリエで「放浪記」を見るのは、5回目。


シアタークリエ以前も含めて、「放浪記」をはじめて最前列で見た。

座席は下手寄りだったため、第三幕の尾道の家の表札も、四幕の世田谷の家の表札も肉眼で確認。

三幕の尾道の場にある舟(前回までの公演での堤防やその階段の代わりに芙美子が腰掛ける、ボート型の小さな舟)は、「アキラ丸」というらしく、船体に「アキラ丸」と書かれている。この舟はいかにも廃船らしく、穴が開いている。

第三幕の最後は、2006年までの「放浪記」では芙美子は立ったままだったが、今回公演はこの舟に腰を下ろして幕を切っている。


カフェー寿楽で再会した日夏京子(黒柳徹子)が伊達春彦(原康義)と別れたと聞いて、芙美子が、役者の亭主について「役者だってことに何か女を騙す特権があるように思ってるんだよ」というセリフ(正確には少しちがうかも知れないが)をいうのだが、この日は、このセリフを「・・・女を騙す目的」といってしまったので、ちょっと変だった。

その第一幕で、芙美子と日夏京子に二股をかけている東京新劇場の役者、伊達春彦。モデルは田辺若男という役者で詩人なのだが、過日、能楽師観世榮夫の評伝、

船木拓生「評伝 観世榮夫」(平凡社)

を読んでいたら(じつはまだ読了していない)、そのなかに、偶然、田辺若男について、こんな記述があった。
抱月須磨子の芸術座時代、最多上演回数を誇る中村吉蔵作『剃刀』で松井須磨子と共演したことをもって生涯の「当り芸」とし、築地小劇場文学座にも出演した。無名放浪時代の林芙美子と夫婦だったこともあった
これにつづけて、アナーキストではないが、関東大震災に際しては、破壊後の新しい東京を歓迎する詩を書いている、として、その一節が紹介されている。


話を2月28日の舞台に戻して・・・カフェー寿楽では、ゴロツキ呼ばわりされた田村伍平(若杉宏二)がバンカラ学生の客(板倉歩)と喧嘩になるところで、田村伍平がその学生から取った帽子を自分で被って表へ出て行ったが、やり方を変えたのかしら。それともここでの学帽の扱い方は即興的なのかな?

もはや神聖な儀式のようでもある森光子さんのカーテンコール。客席へ手を差し伸べ、目を配っている最中に、「1704回」という、とぼけた声がかかった。いうまでもなく、2月28日までの通算公演回数は、1904回である。200回も過去へタイムスリップしちまった間抜けな掛け声のおかげで、せっかくの舞台の余韻が台無し。


シアタークリエの1階玄関を入ると、1900回の日にジャニーズの面々からプレゼントされたという記念の風船が飾られていた。


シアタークリエ公演の観劇雑感。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080303/p1(2/19)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080221/p1(1/31)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080125/p1(1/24)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080108/p1(1/7)