放浪記(シアタークリエ) 初日


1月7日(月)に、シアタークリエで、「放浪記」を観劇。この日、初日

午後1時開演。上演時間は、25分、10分、5分の休憩を含めて、3時間50分。初日は、1時の開演に数分遅れてはじまったが、終演は、予定より3分程度早くて、午後4時47分頃だった。

公演プログラム、1500円(シアタークリエの袋付き)。エステーが協賛しているので、プログラムの裏表紙は、紫ジャージの中西夢乃ちゃんが載っているエステーのカラー広告。


「放浪記」シアタークリエ公演の子役(行商人の子)は、すでに書いたように、2006年「放浪記」と同じふたり(今津凪沙・竹内祐稀)の交互出演。

初日は、今津凪沙さんの出演。当たり前だが、また、大きくなっていた。芸術座最後の「放浪記」からこの役を演じているから、もはやおなじみ。
ダブルキャストの竹内祐稀ちゃん共々、プログラムの写真も子役らしいかわいいものになっている。


さて、舞台(セット)は、芸術座閉館後、2006年に帝劇で上演したときのものを、シアタークリエサイズにコンパクト化したような印象。

第三幕の尾道の場では、舞台が回ってから、家の外で芙美子と恭助が話をするが、前回までは、堤防の上の歩道や、そこから下に降りる階段を使っての芝居だったが、芙美子や恭助が歩いていた堤状の歩道と階段が、今回からなくなった。かつての芸術座での上演では、ご飯を食べたあとの行商人親子は、芙美子の家を出てこの上を歩いて来るが、このシーンは、2006年帝劇公演では舞台後方になった家から出て歩道も少し長くなっていた。今回はセットから歩道となる堤防がなくなって、垣根ふうの石垣が置かれるなどして、子役の動きも(芸術座や、2006年の帝劇、中日劇場とは)変えてある。

ついでに書くと、尾道の場は、行商人役の役者さんが今回から替わったので(行商人の妻役は前と同じ)、芝居も変わって、新味がある。


第四幕の木賃宿では、でんぐり返しが封印されたので、藤山武士がその前にさりげなく布団を直して整えるという段取りもなくなり、ここは藤山武士がリードして宿の客たちを巻き込んでの万歳で喜ぶかたちに。

つづく出版記念会の場も、少し変更されていたようだが、演台が客席に対して正対なのは帝劇公演と同じ。木賃宿の相客だった女占師も、出版記念会の招待客として来ていた(前回公演までは、女占師はこの場には出ていなかったと思う)。


初日ゆえか、上演中に、セットの裏でガタガタ音がしていたり、役者以外の話し声が聞こえたりすることがあったが、舞台自体はとてもよく、なかでも、第五幕の落合の家のシーンは、上手い役者たちの、その上手さの結晶のように感じられた。

高畑淳子さんのおてんばハイカラふうな日夏京子が、新鮮で、最後の第五幕では、落ち着いた装いと雰囲気で、前半との対照を見せる。


また、具体的ないい方は控えるが、初日を見ていて、でんぐり返しをやめたのも、尾道の場での堤防や階段をなくしたのも、賢明な判断だと思った。

今年の12月初旬に中日劇場の公演が終わると、おそらく公演回数は、2000回直前まで行くはずで、ここまで来たら、つつがなく努めていただきたいものである。


カーテンコールは、通常通りに、座長さんおひとりで。シアタークリエは、キャパシティが小さいので、森光子さんが客席に目を配る時間は、帝劇など大劇場に較べると短かく済んだ。


この新劇場、シアタークリエでの観劇は、この日がはじめて。玄関を入ると、右側に受付やロッカーがあって、左側が入り口。入り口でチケットをもぎってもらうと、すぐ目の前がエレベーターで、エレベーターにはエレベーターレディ(?)が乗っているので、手際よく地下2階まで。エレベーターを降りると、売店のあるスペースは右手側になる。

座席は、上手サイド前方だったが、舞台がとても近く、予想以上の見やすさ。前方から傾斜がついているので、かつての芸術座よりも見やすいのではないか。ただし、後方座席の様子は分からない。

シアタークリエについては、一部ブログや掲示板で、大変に混雑するとか、座席が狭いなどの批判が伝えられていたので、心の準備をして出かけたが、少なくとも「放浪記」初日の経験でいえば、私は不満は感じなかった。終演後は階段を上がったが、芸術座時代に階段をおりて外に出るのと同じようなものだったし、座席にしても、特に窮屈でもない。(たとえば、本多劇場のあの狭い椅子などに較べたら、)劇場の座席としては至極まともだろう。


クリエちゃんを探すのを、すっかり忘れてしまった。これは他日を期したい。


※後日、文章を一部手直ししました。

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[追記]
シアタークリエ公演の観劇雑感のリスト
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080403/p1(3/30)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080326/p2(3/25)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080315/p1(3/14)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080304/p1(2/28)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080303/p1(2/19)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080221/p1(1/31)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080125/p1(1/24)