歌舞伎フォーラム公演が存続の危機だというが、さもありなん。


1月29日付読売新聞夕刊の記事
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/trad/20070129et04.htm
や、「演劇界」2007年3月号によると、

歌舞伎フォーラム公演が、主催する日本伝統芸能振興会の財政難と、一部関係機関からの「歌舞伎フォーラム不要論」により、存続が危ぶまれているという。

また、日本伝統芸能振興会のブログには、1月11日付で、『13年にわたり江戸博歌舞伎としてご愛顧いただいてきた江戸東京博物館における歌舞伎フォーラム公演を、21回目で幕を降ろすこととなりました。』と書かれている。

今後の具体的なことは分からないが、これら記事を読んで、私は、さもあろうと思った。

歌舞伎フォーラム公演は、票券管理がいい加減で、主催者が観客を大事にしていない。いままでつづいていたというのが、不思議なくらいだ。


近年の歌舞伎フォーラム公演に、3回ほど足を運んだことがある。舞台の内容は、それなりに見どころもあり、また、めずらしい演目を見ることが出来たと感じたが、主催者の票券管理のひどさや、観客に冷淡で幕内を気遣うがごとき主催者側の人間の言動にはあきれる思いだった。


2005年2月に「傾城阿波の鳴門 どんどろ大師門前の場」が出たときに、日本橋劇場で2回観劇した。舞台は面白かったが、このときは、一度は、チケットが二重発券されていて買ったはずの座席に座れず、別の日は、開演中に客席で携帯電話が鳴ったことに腹を立てたらしい主催者が、次の幕が開く前に、客席に向かって、およそこんな説教をした。

上演中に携帯を鳴らすのは、役者さんに失礼。先ほど、自分が楽屋へ行って謝って来た。携帯電話にはくれぐれも注意して欲しい。

開演中に携帯電話の着信音が鳴るのは、明らかにマナー違反だが、件の観客のせいで自分が役者に謝罪して来たとまで、客席へ向けていう必要があるのだろうか?マナーを求めるのなら、もっと別のいい方がありそうなもの。この公演の主催者は、観客より役者の顔色を見ているのだなぁ、と感じた。私の席から割りと近くのお客さんの携帯が鳴ったのだが、そのご婦人は、次の幕にはもうその座席には戻って来なかった。急用を告げる電話だったのか、居心地が悪くなり同じ席には戻れなかったのか、事情は知らないが、主催者のものいいには、嫌な気分が残った。


2005年9月には、江戸東京博物館1階ホールでの公演(「松王下屋敷」他)を見たが、このときは、チケットWeb松竹で買った席に、団体客のおひとりが座っていて、またもや、座席トラブル。また二重発券かと思ったら、団体客はチケットを持っておらず、両サイドの空いている席に適当に案内していたようだ。せっかく座っている団体さんのひとりに移動してもらってそこに座るというのも気持ちがよくないので、後方に数列あった空席に座ってもいいかと訊いて、そうさせてもらったが、この主催者はこういうずさんなことを日頃からしているのだなぁ、とあきれ、もうこの公演には来たくないと思った。

このときは、携帯電話を鳴らしたお客さんはいなかったので、主催者が説教を垂れることはなかったが、その替わりにこんなことをいっていた。

財政が厳しいので、お菓子を作ってみた、ぜひ、お土産に買って下さい。

お菓子を売る以前に、票券管理がきちんと出来ない主催者に公演を打つ資格があるのか、ということで、歌舞伎フォーラム公演を見るのはこれ切り、と決めて、この後行っていない。

「歌舞伎フォーラム不要論」の内容を私は知らないが、不要論自体は強く支持したいと思う。

座席管理がいい加減(重要な問題として認識していない?)な姿勢や、マナー違反とはいえ、ひとりの観客を吊るし上げるような主催者側の発言が、二度と見に来たくないとも思わせてしまうのだということを、この主催者は分かっているのだろうか。