秀山祭九月大歌舞伎 夜の部


今月の歌舞伎座は、秀山祭九月大歌舞伎。

9月5日(火)に夜の部を。9月25日(月)に、昼の部・夜の部を観劇した。ただし、25日の昼の部は「六歌仙容彩」から、夜の部は「籠釣瓶花街酔醒」まで。

座席は、いずれも、三階席の前方。

これは後日書いたテキストである。以下、25日の観劇も合わせて、夜の部の雑感を、まとめておこう。

 秀山祭九月大歌舞伎 昼の部については、↓に。
 http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20060927/p1


さて、5日は、安田女子高等学校という団体さんが入っていた。後日、同校のホームページを見たら、広島にある学校で、2年生の研修旅行らしい(いわゆる、修学旅行なのだろう)。昨年も歌舞伎座に来ていたようだから、同校では歌舞伎見物が定番のコースになっているのかな?
学校団体らしく、「籠釣瓶」の幕開きで場内が暗くなると、拍手が湧いていた。


夜の部の「菊畑」は、鬼一法眼の花道からの出に、子役の女小姓がふたり従っているはずだが、今回は子役を使っておらず、女小姓そのものが出ていない。

2004年11月の歌舞伎座、夜の部で「菊畑」が出たときは、小川夏樹、石坂なつみの両嬢が演じて、煙草盆と「かしこまりました」のセリフは小川夏樹ちゃんが受け持っていたが、女小姓が出ない今回は、それらを腰元衆が担当している。


歌舞伎の「鬼一法眼三略巻」というのは、どうにもつまらない芝居で、そのうちの一幕である「菊畑」も、どこが面白いのかよく分からなくて、始末に困る。たとえば、「一條大蔵譚」は繰り返し上演される人気狂言だが、私には、とても退屈。

これらに限らず、楽しめるか楽しめないかが、歌舞伎の観客になれるか否かを別ける演目、というものがあるような気がする。


「籠釣瓶花街酔醒」は、場内を暗くしてのチョンパでの幕開き。

序幕の花魁道中は、九重の道中が花道から上手へ。八ツ橋の道中が舞台中央奥から花道へ。今回は七越の道中は出ない。

昨年4月の中村勘三郎襲名披露の「籠釣瓶」では、八ツ橋付の禿と茶屋廻りの子役が、最初に出る七越のそれを兼ねる配役だった(道中禿は小道具を持ち替えての登場)が、今回は、花魁道中が2回だから、そうしたダブりは、なし。でも、花魁道中は、3回出たほうが、華やかでいい。

八ツ橋の禿が、みどり(山口千春)とたより(関根香純)。前者が煙草盆、後者がキセルを持つ。

九重の禿が、さとの(鶴旨美祐)としげり(馬場紗耶)。この二人かむろは、席位置のせいもあり、顔がほとんど見えなかったが、おそらく、前者が煙草盆で、後者がキセルだったろうと思う。

道中禿の並びは、煙草盆を持ったかむろが客席側に立つ格好。つまり、進行方向へ向かって、九重の道中では煙草盆のかむろが右側になり、八ツ橋の道中では煙草盆のかむろが左側になっていた。

子役としては、他に、遣手とのセリフのやりとりがある小按摩清市(梅丸)。

なお、今月の茶屋廻りは、御曹司4人(種太郎、隼人、廣太郎、廣松)が受け持っている。


大詰の立花屋二階、殺しの場。

中村吉右衛門の佐野次郎左衛門は、八ツ橋を斬り殺すまでを、気持ちの起伏で見せるように演じて内なる凄味を感じさせるのに対して、昨年4月に見た中村勘三郎の佐野次郎左衛門は、刀の準備や足袋を脱いで座布団の下に隠すなどの、殺しのための段取りを、いかにもそれと分かるように演じたところに迫真があった。
そのちがいが、とても面白かった。

(・・・それにしてもさ、八ツ橋じゃなくて、九重にしておけばよかったのにね。佐野の旦那は、見る目がないわいなァ)


他に、夜の部は、「鬼揃紅葉狩」。