時代の証言者 中村吉右衛門 22
読売新聞朝刊に連載された「時代の証言者」
歌舞伎俳優 中村吉右衛門の第「22」回(6月8日付、最終回)は、『記念の秀山祭 初代へ恩返し』
今年9月に歌舞伎座で、秀山祭大歌舞伎が上演される。
「秀山祭」は初代中村吉右衛門を記念する公演で、「秀山」とは初代の俳名(現吉右衛門の俳名は、筆名と同じ松貫四)。9月というのは、命日が9月5日なので。これまでも何回か9月に追善を行なったが、
『今年は初代の生誕120年でもあり、何か記念の催しをさせていただけないか、とお願いしたところ、松竹の永山武臣会長に秀山祭のお許しをいただきました。』
『初代をご存知の方も次第に少なくなり、実際に見た方も少なくなってきました。』名前を継いでいるからというだけでなく、初代は『歌舞伎にとって大切な名優だったのではないかと思います。』
『秀山祭は、できる限り、続けていきたい。初代は古典を演じても、作品の登場人物を生きている人として描くことに腐心したのだと思います。ゆかりの作品で、その人間味豊かな型を伝えたいと思っています。いずれは吉右衛門劇団で、というのが夢ですが、今は秀山祭を息子と思って成人するまで育てていきたい。
これでようやく、養子として養父の初代に恩返しができるかなと思っています。』
初代の古典を伝えるとともに、新作や復活など創造もしたい。歌舞伎はいい鉱脈で、まだまだやることはある。歌舞伎のよさを引き出したい。
松竹の努力もあって歌舞伎は好調だが、それに甘んじてはいけないと自戒する。
『世の中、平和だからということもあります。それを変な方向にもっていかないようにしたい。』
役者が考えることではないが、芝居には影響力がある。だから、かつては検閲されていた。
『役者も、影響あるものに携わっているということを自覚しなければならないですね。』
おわり
・・・「時代の証言者 歌舞伎 中村吉右衛門」連載22回分を紹介して来ましたが、最後に、改めて、掲載紙の日付を列記しておきます。
読売新聞朝刊
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