あおげば尊し



歌舞伎座の昼の部で、山口千春嬢のお君を鑑賞したあと、

シネスイッチ銀座で、映画あおげば尊しを見た。



上映時間82分と、割りと短か目の作品。



小学校や子どもたちの様子を切り取ったシーンはいかにもそれらしくていいけれど、リアルな学校風景になり過ぎてしまっている分、子役を見るという意味の楽しみどころは少ない。たとえば、小池里奈ちゃんなら、数シーンで出演を確認出来る。



伊藤大翔くんが目当てなら、また別で、準主役級の役どころ。



ある男の子が、まだずっと幼かった頃に父親を亡くしたが、その際、恐くて父親の手を握ってやれなかったという心の傷を引きずっていて、それを克服するというお話。

テリー伊藤演じる小学校の先生は、何かすごいことをして子どもたちをドラマティックに導く訳でもなければ、特別優秀だったり、学園ドラマの先生のように慕われるでもない。子どもたちにひとの死をどう教えたらいいのか悩み、家庭では、在宅看護している末期がんの老父の、元教師としての生き様を見つめる日々を送っている。その淡々とした展開に、力がある。





パンフレットが、600円。

オールキャスト・スタッフの名前が掲載されている。



参考までに、子役出演者を挙げておこう。敬称略



伊藤大翔

染谷将太

石塚賢人、上野華依良、石綿文太、海寶美寿希、一藁秀行、柏幸奈、井出雅紀、清藤歌奈美、植田甲人、久野みずき、生方椎成、小池里奈、海老名航一、斉藤瑠花、糟谷努、田嶋友、酒井一世、長尾澪佐々木翔馬、鳴海美翔、佐藤聖矢、原綾菜、長澤秀平、日暮阿稀子、深川真之介、平井有伽、馬宮輝、村山仁美、麦嶋一樹、山下ひかり





余談である。

数年前のこと、かつてのクラス担任だった先生が亡くなった。児童を子ども扱いしないタイプの教師だった。考えるところがあったらしく、定年を前にして退職していた。年賀状と暑中見舞いを欠かさず書いていたが、返事が来なくなった。筆まめなひとで、教え子の手紙には必ず返事を書くのに、どうしたのかと気になっていたら、それからしばらくして、亡くなったことを知らされた。親類のいる田舎で療養するまま亡くなり、教師時代の関係者に知らされたのはあとになってからだったようだ。さびしくもあったが、潔さも感じた。元教師の生き方はいろいろなのだと、この映画を見ながら、件の先生のことを想った。