ライバルを探せ!
村松友視「ライバルを探せ! 対立構造のすすめ」(NHK出版、生活人新書 680円税別) が面白い。
ライバルという対立関係が成立した時代、そのジャンルには勢いがあった。当人たちの意識の有無は別にして、周囲が両人を「ライバル」ととらえて支え、それぞれのファンの思い入れも人気を加速させ、伯仲して輝きを増す。
資質やスタンスが同じふたり、似た者同士は、ライバルにはならない。コントラストが必要だ、と村松氏はいう。
また、「かつてさまざまなジャンルにライバル関係が存在し、今日ではライバル関係が風化している」と書く。
でも、いまなお、日本人はライバル物語が大好きなはずだ。
同書では、長嶋茂雄と王貞治、ジャイアント馬場とアントニオ猪木、片岡千恵蔵と市川右太衛門、勝新太郎と市川雷蔵、タモリとビートたけし、大山康晴と升田幸三など、誰れでもがうなずくライバル関係を、著者の視点で分析している。
玉の海というライバルを失った北の富士についての指摘にはなるほどと思うし、石原裕次郎や、美空ひばりに関する見方も、面白い。
話のスケールが小さくなるが・・・
子役も、ライバルという見方が出来るような、ハイレベルで力の拮抗したふたりがダブルキャストを組んでいると、その舞台はとても魅力的なものになる。
ひとつの役に複数の子役がキャスティングされているとき、差があり過ぎたり、上手い子のひとり勝ち状態になるのは、つまらない。
複数キャストの理想のかたちは、たとえば、2002年の「モーツァルト!」でのアマデ役3人の三つ巴の好演や、「ライオンキング」東京公演におけるヤングナラ四天王(平澤・神原・内田・高野)時代であろう。
もし、いま、子役ライバル物語をひとつ創るとしたら…石丸椎菜と黒沢ともよ、がいいな。両嬢は、活躍の土俵がちがうようでいて、過去には同じ舞台でダブルキャストを組んだことがある。アニーとアマデで、まさに、いま「旬」だもの。