前進座五月国立劇場公演



5月23日(月)、今日は、最近にはめずらしく気分がよかったので、国立劇場に、前進座の「佐倉義民伝」と「権三と助十」を見に行った。



前進座の公演を生で見るのは、はじめてのこと。



11時開演。10分、30分の休憩を挟んで、終演が、2時27分頃。



当日券を購入したが、残席はわずかで、開演時に客席は、ほとんど満席だったのではないか。国立劇場主催の歌舞伎公演のようなつもり(=当日券でよりどりみどり)でいたものだから、びっしり埋まった客席には、びっくり。友の会がしっかりしているのか、優良な鑑賞団体がついているのでしょうか?



まず「佐倉義民伝 門訴から子別れまで

歌舞伎というより、新劇みたいなお芝居という印象。

プログラム(1000円で販売)の巻頭「ごあいさつ」に、「アンサンブルで挑む」という言葉が使われているくらいだし、主役を際立たせるような仕方でもない。



嵐圭史(主役の木内宗五郎)が上手いのは確かだけれど、あれは、歌舞伎俳優としての上手さではなく舞台俳優としての上手さ、ではなかろうか。「子別れ」での、義太夫に乗っての演技は、なんだか滑稽に見えてしまった。



歌舞伎役者らしく見えたのは、藤川矢之輔(渡し守甚兵衛)、武井茂(まぼろしの長吉)のふたり。



もうひとつが「権三と助十

アンサンブルで見せるに適した演目のせいか、こちらは、面白く見た。難をいえば、権三の女房役の河原崎國太郎女形は、板についていない感じ(大歌舞伎のお弟子さんのほうが、よっぽど上手いひとがいそう、と思ったのは私だけでしょうか)。



子役の着ぐるみの猿が、かわいい。助十の弟助八をひっかくところが、傑作。





客席は、うるさい大向うもいなくて、落ち着いて鑑賞出来るのが、よかった。また、上演時間も、長過ぎず、お手頃。

でも、前進座の歌舞伎は、もうこれで見なくていいかも…。 歌舞伎よりも、たとえば、来年正月の南座公演、井上ひさし作「たいこどんどん」(嵐圭史の若旦那、中村梅雀のたいこもち)のほうが、よっぽど面白そうだし。