観劇偶評



三木竹二 著/渡辺保 編「観劇偶評」(岩波文庫、1000円税別)

が出ていたので、買ってみた。



三木竹二の著作が一冊の本として出るのは、これがはじめてだ、と。明治22年〜28年の劇評「観劇偶評」他が収録されている。



ちなみに、上村以和於氏は、その著書「時代(とき)のなかの歌舞伎 近代歌舞伎批評家論」(慶應義塾大学出版会)のなかで、『月草』に「観劇偶評」という題で書かれた明治22年から28年までの竹二の劇評は「若書き」とし、

竹二の劇評がひと際の冴えを示し出すのは、むしろ晩年、「撫子」こと小山内薫や吉田白甲等、若い世代の論客をまじえるようになってからの合評の席上

だという。

また、竹二の生き方として、

幕内、というより、劇壇に対し常に一定の距離を保ち続けた

ことを指摘している。



今回上梓された「観劇偶評」は、編者である渡辺保氏が、巻末に、短いが解説を書いている。それと、上記の上村以和於氏の三木竹二評とを合わせ読むと、なかなか面白い。