放浪記 3/23夜
3月23日(水)は、芸術座で、森光子主演「放浪記」を観劇。
夜の部で、5時半開演。
25分、10分、5分の3回の休憩を含め、上演時間は、3時間半。
ビルの建て替えで閉館になる芸術座での最後の演目。
この3月芸術座のあと、4月は博多座、5月上旬の富山オーバードホールでの公演が終わると、「放浪記」の上演回数は、1795回を数える。
公演プログラムは、すでに書いたような内容で、1500円。
(蛇足ながら・・・プログラムの28ページに、「放浪記」上演一覧 があるが、これ、平成15年11〜12月の芸術座公演の分が抜けているよね)
さて、舞台は、緊密で、すばらしいのひと言。
森光子さんの「でんぐり返し」で有名な木賃宿のあの場面は、自分の書いたものが「女人芸術(劇中では、女性芸術)」に掲載されたことを新聞の広告で知った芙美子がよろこびを爆発させるのだが、その歓喜も一瞬のこと、ハッピーなシーンなどないといっていい、まさに「苦しきことのみ多かりき」お芝居なのだが、それを飽きさせずに最後まで緊張感を保って見せ切る。
ベテラン揃いのメインキャストは、そのほとんどが、実年齢よりもずっと若い役柄を演じるのだが、不自然さよりも、こういうものと、すんなり納得させる力がこの舞台の年輪でもあろう。
あの時代の文士の「それらしさ」は、いまの若い俳優ではなかなか出せない味なのかも知れない。
カーテンコールでは、ひとり、舞台中央に座した森光子さんの姿に、崇高な美しささえ感じた。
尾道の幕で登場する、(子役の)行商人の子(交互出演)は、岩井優季ちゃん。
おなかを空かせているときの様子から、ご飯を6杯食べたあとの明るさ、満腹になるや「早う行こう」と親を急かす現金さなど、子どもらしい変化をきっちり演じていることが見て取れた。
この役は、汁かけご飯を食べるのに箸をグーで握るのだが、あの握り方はかえって食べにくそうだ、と思ったり。 たわしのひとつぐらいなら、客席に売りに来たら、すぐに買ってあげるのに、と思ったり(笑)。
余談だが、今週は、福地亜紗美ちゃんをテレビドラマで、岩井優季ちゃんを舞台でと、「ピローマン」の子役ふたりの好演を見ることが出来て重畳であった。
(※少し加筆しました 3/26未明)。