九月大歌舞伎 昼の部



13日の歌舞伎座 昼の部を観劇。

 以下、子役中心の雑感(なお、基本的に敬称略で)。



「高時」

着ぐるみの犬が三匹登場。

そのうち、上手から走って出て来てあっという間にいなくなる二匹が、筋書きに写真と名前だけ出ている子役(本田優希也、森彩音)らしい。



「ばばさまー」の安達泰忠一子泰松(小野瀬千夏)は、刀突きつけられて人質になったり。



高時(中村橋之助)を翻弄する烏天狗たち(8人)が、バレエダンサーにも敗けないくらいに高く、ぴょんぴょん跳んで見せて、これは すごい。

さながら異形の者といった様子ありあり。



「高時」といいながら、タイトルロールの高時よりも、高時を諌める大佛陸奥守(片岡愛之助)や秋田入道(坂東弥十郎)、安達三郎泰忠(坂東亀寿)や、絡みの天狗たちなど脇に見どころが多く、面白いが、主役が冴えない芝居という印象も。



長崎次郎で片岡松之助が活躍。





「茶壺」

狂言をもとにした松羽目ものは、大筋は狂言と同じでも、舞踊や筋の運びにひとひねりあるのが面白い。

中村翫雀のおおらかな物腰、坂東三津五郎の上手さ、ふたりの見映えのつり合いもよく、気持ちよく舞台を楽しんだ。





「一本刀土俵入」

長谷川伸の有名戯曲だが、生の舞台で見たのは、今回はじめて。

泣ける芝居である。今月は、女性客の泣きどころは夜の部の「重の井」の子別れ、男性客の泣きどころはこの「一本刀土俵入」だろうと思う。



「利根の渡し」の場で、角兵衛獅子が芸を披露。

ふたりの角兵衛獅子(古知屋由生、平中優乃)が、側方倒立回転の連続技(お見事!)を時計回りで。そのあと、見物衆からおあしを頂戴して、渡し船へ。これで、角兵衛獅子の出番は、おわり。



「お蔦の家」の場から、お蔦(中村福助)の娘お君で中村宗生登場。

女の子がけっこう似合って、見目もなかなかかわいい。



「お蔦の家」の冒頭、うたをうたっていた子どもの声は、誰れだろう?(角兵衛ちゃんの子役と思っていいだろうか…)





「菊薫縁羽衣」(きくかおるゆかりのはごろも)

芝翫一家の繁栄を寿ぐ舞踊。

子息ふたり、婿ひとりに、(大河ドラマ出演のひとりをのぞく)孫男子5人が勢ぞろいして、初舞台の初代中村宜生の紹介と、口上あり。



客席は、その孫たちの品定めで、ざわざわのにぎわい。さらには、初舞台宜生くんの一挙手一投足にお客さんたち大受け。じぃーととなりの父(橋之助)の横顔を見つめていたり、父の右手を取っていじくっていたりで、見物の笑いを大いにさそっていた。

おかげで、児太郎くんの口上がよく聴こえなかったのが、残念。



ま、理屈抜きに、客席も めでたいような気分になったところで・・・幕。







愛之助さんて、歌舞伎座だと、昼か夜かのどちらかにしか出ないことが多いね。

昼夜で、見たいな。