るつぼ(シアターコクーン)


10月15日(土)と、そのあと、10月30日(日)に、シアターコクーンで、

「るつぼ」

作:アーサー・ミラー
翻訳:広田敦郎
演出:ジョナサン・マンビィ
振付:黒田育世

http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_rutsubo/

を観劇。

(過去ログのこの公演。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20161006/p2)

両日とも、昼の部で、午後1時開演。30日は、東京公演の千秋楽。

公演プログラムは、1500円。

上演時間は、最初の告知より5分長くなっていて、
『1時間30分、休憩15分、1時間30分』で、3時間15分。


開幕前のこと、2012年に、新国立劇場で「るつぼ」が上演されたときの公演ページを見たところ、

http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000618_play.html

上演時間が『約3時間45分(休憩1回含む)』とあって、10月15日は、午後5時から別の舞台の観劇予定を入れていたので、そんなに長くなると困るな、と思ったが、今回のシアターコクーンでの上演は、3時間15分(当初は3時間10分との発表もあった)だったので、あとの観劇に差し支えることにはならずに済んだ。


1692年に、じっさいに起きた「魔女裁判」を劇化したもの。この芝居、私は、今回はじめて見たけれど、あまりにもひどい、理不尽過ぎる冤罪事件なので、見ていて、平常心を保つのが大変なくらいに、心中は怒りで沸騰した。

当時、日本だと江戸時代(元禄?)・・・むかしのこととはいっても、こんなことで、何百人が投獄され、20人近い人間を絞首刑にしたなんて、もうほとんどホラーの世界だ。

オカルトに興じた思春期娘らが、保身のために嘘をつき、同調圧力が集団ヒステリーを生じさせたっていうことだとしか思えない。そもそも、宗教こそが、少女たちを追いつめて、存在しない悪魔なんてものを見させている元凶だしね。

セイラムの魔女狩り事件をおおむねそのままえがきつつも、ジョン・プロクター(堤真一)とアビゲイル・ウィリアムズ(黒木華)の関係、アビゲイルと従姉妹のベティ・パリス(パリス牧師の娘)の年齢設定は、この「るつぼ」での創作らしい。

じっさいのアビゲイルは、11歳。ベティは、9歳だったというから、それはそれで、芝居以上にびっくりな状況ではある。


舞台では、裁判の途中で、アビゲイルと少女たちのウソを告発するメアリー・ウォレン(岸井ゆきの)が、いい役。とはいっても、結局は、アビゲイルたちの軍門に下ってしまうのだけれど。

今回の「るつぼ」では、アビゲイル以外の少女たちと奴隷・ティチュバ役の計10人のキャストは、ポスターやチラシで名前が小さくなっていたり、プログラムでも他の出演者より扱いが小さ目だったりするのだが、カーテンコールでのキャストの登場順や並びは、役柄の比重を反映したものになっていて、メアリー・ウォレンの岸井ゆきのさんもそれ相応の位置になっていた。