発表会文化論 アマチュアの表現活動を問う


昨日、東京オペラシティビルの書店で、こんな本を見つけた。今年の2月26日に発売されている。


青弓社ライブラリー 84

宮入恭平 編著「発表会文化論 アマチュアの表現活動を問う」

青弓社、1600円+税

http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-3383-7

日本における発表会文化、アマチュアの芸術活動について、習い事産業、学校や部活動、市民の文化活動や公募展、公共ホールの役割、ノルマ制をともなうステージ活動として近年その傾向が顕著になっているというライブハウスの状況、などを考察している。合唱についてはとくに一章をあて、また、アメリカの発表会事情にもページを割いている。

この本の編者は、かつては不特定の聴衆の前で演奏出来る場であり、そこで演奏することがファンの獲得につながっていたライブハウスが、近年では出演者がお金を払い(チケットノルマを引きうけて)身内や顔見知りを聴衆として演奏する発表会的な場になりつつあることの問題提起を端緒として、この本のテーマに入って来ているからか、発表会の事例も音楽関係がメインで取り上げられている。
なので、演劇やミュージカルについては、具体的なケースは紹介されていない。


たとえば子役を中心とするミュージカルにしても、(その舞台がおもしろいか否か、クオリティーが高いか低いかは別にして)出演の場をつくるために行なわれるような公演も少なくないし、子どもたちがお稽古ごと的にミュージカルを習ったり、市民参加のステージやワークショップを体験出来る機会も増えていて、すそ野は広がり層も厚くなるのと同時に、だんだんと状況はバレエに近づいている気もする。
この本をきっかけに、そのあたりについて思いをめぐらせてみるのも、また一興かも。