松平健・川中美幸 特別公演「赤穂の寒桜」/パワフル美幸オンステージ 人うた心(明治座)


2月14日(金)は、雪のなかを明治座へ。

松平健×川中美幸の二人座長公演(お互いに相手の座長公演で相手役を務める)を見た。

2月2日が初日だったが、川中美幸座長の回が、昼の部になるのを待っての観劇。この14日は昼の部のみで、午前11時開演。

上演時間は、

赤穂の寒桜〜大石りくの半生〜(脚本:阿部照義、演出:水谷幹夫) 第一幕 55分
  幕間 30分
赤穂の寒桜〜大石りくの半生〜 第二幕 65分
  幕間 30分
パワフル美幸オンステージ 人うた心(構成・演出:宮下康仁) 60分

じっさいの終演は、午後3時12分ぐらいだった。


出演の子役については、すでに書いたとおり。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20140203/p1

(この日は、東京の東俳のふたりだった)

子役の吉千代は、第一幕のみ。子役の瑠璃は、第一幕、第二幕に出演(二幕では竹馬で遊ぶ)。


大石内蔵助の妻・りくの半生を、松の廊下刃傷後の赤穂藩断絶から討入り、時を経て、三男・大三郎が浅野本家へ召し抱えられるのを見届けて、りくが出家するまでをえがく。

「赤穂の寒桜」は、2007年の御園座の正月公演で初演され、2013年1、2月の御園座さよなら公演(松平健×川中美幸特別公演)で再演されている作品だが、今回ようやく見た。

夫との別れ、長男・主税との別れ、出家した次男・吉千代の死、許されて浅野本家へ出仕が決まった三男・大三郎の旅立ちを見送る。など、愛する家族との別れがポイントとなっている芝居である。


大石松之丞(主税)、大三郎の二役は、ずい分といい役どころなのだなぁ。

以前から、子役と大人の中間的なキャスティングだったが、今回は、歌舞伎の御曹司が演じているので、クレジットやチラシでの扱いも役相応になっているという印象。中村虎之介くんは、柄も、年齢的にもよく役にはまっている。


りくという女性は、内蔵助ら浪士たちの切腹後、33年生きている。この芝居では、正徳3(1713)年までがえがかれるから、りくは、芝居の幕切れからさらに20年以上生きたことになる。この芝居を見終わって、そんなことを考えていたら、討入り後に残された家族や関係者たちにとっての時の長さというものを思わされる。

りくには、内蔵助との間に、3男のほかに2女がいたが、「赤穂の寒桜」では、設定等が多少いじってある。たとえば、娘は瑠璃だけで、長女のくうが登場しない。瑠璃は成人し結婚する(この芝居のなかでも、長じて、弟・大三郎の広島への出仕に従う)が、くうは、内蔵助の切腹の翌年に亡くなっている。

「赤穂の寒桜」では、めずらしく、内蔵助の母(りくにとっては姑)が登場する。忠臣蔵関連の時代劇などでは、りくの姑というのはあまり見ないと思ったら、どうやら史実では、内蔵助の母は、赤穂事件の10年ほど前に亡くなっているようだ。つまり、この「赤穂の寒桜」では、設定上、姑を長生きさせている。

今回の明治座公演は、初演時の場割と較べると、一幕、二幕とも、一場ずつ減っているのかな? 以前の舞台を見ていないので、確かなことは分からないが、あらすじや配役を見較べると、たとえば、初演時には、危篤となった僧・元快(出家した次男・吉千代)のもとにりくが駆けつけ、最期を看取るというシーンがあって、第二幕には、大人になった吉千代(祖錬元快)役が登場していたようだが、今回の舞台では、大人の吉千代は登場せずに、吉千代の死は、セリフで処理されている。


第二部の「パワフル美幸オンステージ 人うた心」でも、ふたりの座長の共演があるが、デュエット曲だけでなく、松平健さんも持ち歌の「マツケンの大繁盛」をうたい、ショーの最後にはまた登場して、ダブル座長が並んだ姿で幕を下ろすなどは、二人座長公演の名に相応しいサービス。

川中美幸さんのメインバックダンサーは、ひとりは変わらずおなじみの大ちゃんこと綿引大介さんだが、もうひとりを今回は俵和也くんがやっている。ので、プレゼント受け取りタイムのお手伝いにも出て来る。

所見の回のステージでは、座長さんにプレゼントを渡すひとは少な目だった。やっぱり、初日や千秋楽が多いのでしょうね。


売店では、松平健さんの舞台写真を売っていたが、川中美幸さんのは見当たらなかった。