戸田市民ミュージカル「コバルトブルーの少女 リバーサイドストーリー」(戸田市文化会館)


12月9日(日)は、下記のミュージカルを観劇。


戸田市文化会館文化推進プロジェクト 市民ミュージカル

The River エピソード4「コバルトブルーの少女 リバーサイドストーリー」

(作・演出:犬石隆、音楽監督・作曲・編曲:玉麻尚一、振付:佐々木有子)


7年目の戸田市民ミュージカル。タイトル的には「ザ・リバー」の派生エピソード「4」となっているが、「パック・ザ・リバー」は3年かけて完結しているので、実質的には、今回の新作「コバルトブルーの少女」が「ザ・リバー」シリーズの3作目と思ってもよさそう。

昨年と同じ入場料の有料公演(全席自由 一般1000円、高校生以下500円)である。


今回の出演者は、オーディションで選ばれた小学3年生〜大人までの50名。

2回公演あって、一部の配役のみが役替り。
1回目(コバルト組)が、13時00分開演。2回目(ブルー組)が、16時30分開演。上演時間は、1時間20分弱(アナウンスでは、1時間20分といっていた)。途中、休憩はなし。


キャストクレジットトップの水野ゆかり役の子が小学3年生(役柄は4年生)だったのには、びっくり。他の役付きの生徒たちからして、中学生ぐらいの子かと思っていた。でも、この市民ミュージカルは、キャストの大半が出演を重ねて来ているし、その前のミュージカルワークショップからの蓄積もあるようだから、初出演でいきなり主役を演れるチャンスがあるのは、むしろ年齢の低い子のほうなのかも。

とはいえ、そのいぶきちゃん(と読むのだよね?)というのは、新人さんといっても立派なミュージカル子役予備軍だったみたい。
http://www014.upp.so-net.ne.jp/YU-KI_PROMOTION/
(余談だが、この子を見るには、上手側の座席が良席だった)。


主要キャストの役名は、川の名前が姓になっている。また、女の子が演じる男子生徒役は、じゅんとかレンとか、事前にチラシで役名を見ただけでは、男の子役だとは分からない役名が付けられていて、そのあたりは手が込んでいるな、と。


川岸に建つリバーサイド学園を舞台に、人間世界を破壊、征服しようと企む大魔王に操られた者たちと、それを阻止するために現れた転校生の少女が戦う、というのが今回のお話。たとえていうなら、戸田市民ミュージカル版「ねらわれた学園」といった感じ。

そんな表向きのストーリーの裏側で、震災後の日本や日本人に蔓延している漠然たる不安感や、未来への希望を持てなくなっている現状に対する警鐘、あるいは寓話ともなっているのがこのミュージカルのおもしろさのひとつ。人間を支配しようとする大魔王の正体はナマズ(地震を起こすとされた)なのだから、単純に、地震に敗けてはいけないという意味に受けとめてもいいのだろう。

水野ゆかりの相手役になる少年・じゅんは、リバーサイド学園の他の生徒たちからは少し離れた存在で、その分、登場人物と観客の中間的なポジションともいえるから、ゆかりがじゅんに向かっていう言葉は、じゅんを媒介にして観客へ投げかけられている。ナマズ大魔王の企みを打ち砕く少女・ゆかりは、舞台の上の世界からはやや遊離していると思われるセリフを口にするのだが、それは客席にいる観客、震災後を生きる人びとへのメッセージになっている訳だ。


水野ゆかりという女の子は、水神様に仕える童(ワラベ)だから、このシリーズでは、かつて、洪水を鎮めるために人柱に立った女の子ということになる。そんな子に、じつはあんな戦闘力があったという意外な展開、広がりも、今回の「コバルトブルーの少女」のおもしろさ。

いよいよ物語が佳境に入るところで、ハロウィンの仮装シーンになる構成の巧みさ、そこから終幕までの流れが秀逸で、ミュージカルとしての醍醐味を味わえる作品。

「ザ・リバー」や「パック・ザ・リバー」のときよりも、総じて、キャストの衣裳の点数が増えていて、ここにも、この市民ミュージカルがまた先へと踏み出したことを窺わせるものがあった。


ハロウィンパーティーで一輪車に載っていた猫の子が、かわいい。それ以外のシーンでも、とってもイキイキしていて、目を惹いていた(体操とか出来る子なのかな?)。

じゅんがトランプタワーを立てていたけど、本番の舞台の上でずいぶん器用なことをするものだ…と思いながら見ていた。

            • -

関連のエントリー(ザ・リバー)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/archive?word=%A5%B6%A1%A6%A5%EA%A5%D0%A1%BC