名作探訪「奥州安達原」への疑問


昨日(10月22日付)の読売新聞、文化面の『名作探訪』は、


「奥州安達原」 舞台 奥州市(岩手)


この記事のなかに、

『芝居のさなか、雪の中で祭文を歌う袖萩と、奥州の巨魁(きょかい)・安倍貞任の二役を演じるのが、三代目中村歌六から初代中村吉右衛門へと続く“播磨屋の芸”。当代吉右衛門さんも2005年に二役を演じた。』

という件りがある。

YOMIURI ONLINE の記事から引いてみたが、10月22日付朝刊の記事でも同じである。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/trad/20101022-OYT8T00507.htm

この部分の『2005年に二役を演じた』は、おかしいでしょう。

当代の吉右衛門が、袖萩と安倍貞任の二役を演じたのは、2001年1月の国立劇場公演で、2005年にはそもそも「袖萩祭文」を演っていない。

近いところでは、2006年1月に歌舞伎座で「袖萩祭文」が上演されたが、このときは、安倍貞任吉右衛門だったが、袖萩は福助で、袖萩と安倍貞任の二役はなかったのだから。