新橋演舞場 五月花形歌舞伎 昼の部


5月18日(火)に、新橋演舞場 五月花形歌舞伎の昼の部を観劇。

11時開演。

昼の部は・・・「寺子屋」1時間20分、幕間30分、「吉野山」55分、幕間20分、「魚屋宗五郎」1時間20分、幕間10分、「お祭り」15分。

終演予定は、3時50分となっていたが、この日は3、4分早く終わった。


舞台写真の売り場は、2階ロビーに戻っていた。今月の舞台写真には、子役も写っているものがけっこうあって、そのなかから4枚ほど購入。

松本錦成くんの写真は、1点しか出ていなかった。


まず「寺子屋」が、いい。武部源蔵(染五郎)に惹き込まれた。染五郎の武部源蔵は、私の抱いているこの役のイメージにぴったり。派手で大づくりな松王丸(海老蔵)とのコントラストも効いている。

松王丸の「持つべきものは子でござる」のセリフで、わが子を身替わりに差し出した夫婦の悲劇と、忠義のためとはいえ他人の子を手にかけた(子を持たぬ)夫婦のそれとが、二重うつしにクローズアップされる。

この日の菅秀才は左手首に包帯を巻いていたが、お怪我でござろうか…。菅秀才は押入れに隠れた。


「魚屋宗五郎」は、呑みはじめて酔いが回るうち、宗五郎(松緑)のはだけた胸が赤くなるなど、いかにもそれらしいところが印象的。ただ、ときどき宗五郎が大仰と感じることがあった。

おはま(芝雀)がだいぶ年上の女房に思えるのは、配役のバランスとしてどうだろうか。以前に、三津五郎の宗五郎、芝雀のおはま、松緑の三吉という配役の「魚宗」を見ているので、なおさら。おはまが上手いゆえに、かえって、宗五郎の若さが見えてしまう。

お蔦の召使いだったおなぎ(七之助)のことを、「お蔦の朋輩」と説明する筋書には、どうも違和感をおぼえる。

磯部主計之助(海老蔵)は、爽やか過ぎて、酒乱の癖があるようにはとても見えない。海老蔵襲名のときに演じた同役よりも涼しげではあるまいか。


「お祭り」は、幕を振り落とすと、本舞台に鳶頭(染五郎)と若い者幸太(錦成)。
最後は、染五郎の鳶頭が花道を引っ込んでの幕。「お祭り」というと、鳶頭が花道から登場するとばかり思っていた私には新鮮で、面白かった。芸者が出ない「お祭り」のほうがすっきりして、いい。

鳶頭に幸太がからむシーンが多いのも、楽しめた。錦成くんて、中学2年生にしては、まだ幼げな感じが残っていますね。


今月の新橋演舞場は、夜の部がよさそうだと思っていたが、いざ見てみると、「寺子屋」と「魚屋宗五郎」の昼の部のほうが面白い。

「魚屋宗五郎」で灘の生一本を使いする、小宮明日翔くんの酒屋丁稚が、よかった。振り返ると、これが、昼の部いちばんの見ごたえ。もういっかい見たくなる酒屋丁稚だ。