第13回みつわ会公演 久保田万太郎作品その20「水のおもて/燈下」(六行会ホール)


六行会ホールで、

第十三回みつわ会公演
久保田万太郎作品 その二十
「水のおもて」「燈下」

を観劇。
(過去ログのこれ。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20100113/p1)

演出:大場正昭


久保田万太郎作品2本立てのみつわ会公演を見るのは、今回で3度目である。


14日(日)の昼の公演。午後1時開演(じっさいは5分過ぎての開演)。終演は、3時12分ぐらい。

「水のおもて」が70分弱、10分の休憩があって、「燈下」が約50分。


「水のおもて」は、不景気で資金繰りに苦労している老舗の小間物屋の午後と、同じ日の夜の出来事。掛け取りに出た見世の若い者のひとりが、集金した金を持ってトンズラしてしまう。それでも、店の主人は支払先に小切手を振り出すが、おそらくは不渡りに、というところで終わる。

差し迫った主人や、番頭に較べて、さほど深刻に受け止めていない若い者たち、店の難局を知らぬだろう妻や芝居見物に出かけた娘、金を前借りに来る職人の妻と幼な子。店を訪れる者たちとの会話からうかがえる世相…

店が陥った状況と登場人物たちそれぞれの立場が上手くえがき分けられていて、その脚本の技術には感心してしまうけれど、…でも、それだけ。設定と状況だけでなく、芝居らしい結末なり決着がつかないと、観客としては気分がおさまらずに、モヤモヤしたまま。


「燈下」も、同じ。あの家族の状況は、ひととおり分かるにしても、太吉という男の子の気持ちや、このあとどうなるのかは、不明。ただではすまないような、いや、あのままどうなるでもなさそうな、どことなく落ち着かない余韻を残す…


「水のおもて」のおみつの子供は、セリフなし。舞台下手で正面を向いて立って、おかしを食べている時間が、なんだか長く感じた。

「燈下」の太吉は、大人しい子がさらにおとなしくなっていて、めったにしゃべらない役なので、セリフはわずか。


「水のおもて」
由次郎(ふぢ屋の主人) 冷泉公裕
おきぬ(由次郎の妻) 河合盛恵
おこう(由次郎の娘) 安藤瞳
安藏(ふぢ屋の番頭) 伊和井康介
才次郎(見世の者) 川辺邦弘
定一(見世の者) 鎌田翔平
卯吉(見世の者) 前田義朗
勘定取りの男 佐堂克実
芝居茶屋の男 櫻川七好
おみつ(下職小坂の妻) 小林亜紀子
おみつの子供 久保田真琴
月刊のある新聞の記者 世古陽丸
吉野家の使い 川内慎太郎
兼吉(紺屋の職人、元ふぢ屋の下職) 蔵一彦
※登場しない人物  仙吉という見世のもの、小坂という下職

「燈下」
權七(左官の親方) 菅野菜保之
おみね(左官の女房) 大原真理子
太吉(同、子供) 黒濱優至
市藏(左官) 豊田茂
使の男 川内慎太郎