頭痛肩こり樋口一葉(浅草公会堂)


6月25日(木)に、浅草公会堂で

「頭痛肩こり樋口一葉」(井上ひさし 作、齋藤雅文 演出)

を観劇。

今月、京都・南座で21日まで上演され、その後に各地、7か所のホールで公演する、その巡演地のひとつがこの日の浅草公会堂。

午後5時開演。

開場は開演の30分前となっていたが、その前からロビー開場していた。新春浅草歌舞伎のときには売店が出ていたり、チラシ置き場になっていたスペースにロッカーが置かれていて、びっくり。ロビーでの販売物はプログラムしかなかった。プログラムは、南座〜巡業まで共通のもので、1000円。


上演時間は、

第一幕 1時間30分
 休憩 20分
第二幕 1時間18分ぐらい


配役は、

樋口夏子: 田畑智子
樋口多喜: 野川由美子
樋口邦子: 宇野なおみ
中野八重: 大鳥れい
稲葉鑛: 杜けあき
花蛍: 池畑慎之介


樋口家の戸主として母、妹と暮らす夏子(樋口一葉)の境遇を、樋口家に出入りするふたりの女性+ひとりの幽霊との交流のなかにえがく、女性6人による音楽劇。各場は、(例外もあるが) 明治23(1890)年〜明治31(1898)年まで、9年にわたる毎年7月16日(お盆の16日)の樋口家が舞台となり、一葉の死後まで展開する。

最初は、幽霊は花蛍だけで、他の5人は生者だったのが、最後の場では、生者は邦子ひとりとなり、他の5人が幽霊になっている。そんな構成が洒落ている。

劇中、怨みの連鎖、ということが扱われていたが、幽霊(死者)が絡んで怨みの連鎖となると、「ムサシ」でのそれと重ねて見ずにはいられない。

第一幕、第二幕それぞれの冒頭に、出演者のうちの5人が少女役で出るシーンがある。


田畑智子ちゃんの生着替えが、見どころのひとつ。舞台で着物の衣裳を着替えるのは、歌舞伎だったらめずらしくもないが・・・これは、見どころだ。


五千円札を模した幕が使われ、その幕を下ろしての転換の間には「ぼんぼん盆の十六日に地獄の地獄のふたが開く…」のうたが繰り返し流される。終演後は、子どもの声によるそのうたが耳に残る(この詞も井上ひさしのオリジナル?)。

夏子(田畑智子)が柱にぶつかるシーンがあったが、これが面白かった。柱にぶつかるシーンといえば、つい先日見た新派アトリエ公演「女の一生」で、野村精三が柱にぶつかっていたのを思い出す。もしかして、新派の演出家は、柱にぶつかるというのがお好きなのだろうか(それとも、戯曲に指定があるのか?)


カーテンコール。出演者がひとりずつ前に出るが、順番は、宇野→大鳥→野川→杜→田畑→池畑。主役は田畑智子だが、カーテンコールは最後に池畑慎之介


一葉の妹を演じる宇野なおみちゃんは、役にはまっていて、えらくかわいい。プログラムの写真も、しかり。(一葉の妹は、本当に姉から、くーちゃんと呼ばれていたのかが気になる)


浅草公会堂では、これまで歌舞伎しか見たことがなかったが、マイクを通したうたやセリフは、かなり反響するホールだと感じた。

今回の「頭痛肩こり樋口一葉」では、歌舞伎公演のような花道は設置せず、脇花道(下手側のみ)を使用。