新派アトリエ公演「女の一生」を観劇


三越劇場で、

新派アトリエ公演「女の一生」三幕
(森本薫 作、戌井市郎 補綴、大場正昭 演出)

を見た。

新派名作劇場として同劇場で上演中の「女の一生」全六幕から、第一幕〜第三幕までを劇団内オーディションで選ばれた若手キャストで上演するという、1回のみの限定公演。

配役は、↓に。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090608/p1(新派名作劇場女の一生」の配役 新派アトリエ公演を追記)

6月21日(日)午後3時30分開演。終演は、5時7分くらい。


2000円で全席自由。開場前から並んでいたひともけっこういたようだが、私は並ぶのはいやなので、新館のほうで本を買ったりしてから劇場へもどると、ちょうど並んでいた列が入場し終わる頃だったので、列のあとに続いて入った。三越劇場は、1階席は傾斜がないし、2階席も段差不足で席の選び方がむずかしい劇場だが、いちおう、最前列に座れた。

この公演は、1階2列が最前列で、張り出し舞台がつくられている。


はじめて「女の一生」を見たが、第三幕まで、とても面白く見た。

第一幕が明治38年正月、第二幕が明治42年春、第三幕は大正4年夏。幕と幕の間で時間が何年も経過するとともに、主役の布引けいは年齢だけでなく、立場(境遇)も幕ごとに大きく変化する。主演女優がその主人公の変化を、見事に演じて見せるところが、芝居の筋以上の見せ場になっているといえる。

第一幕でのみなしご同然のみすぼらしい家出少女が、第二幕では堤家の女中としてテキパキと気立てよく働き、堤家の息子ふたりから想いを寄せられる娘となり、第三幕では長男伸太郎の妻として堤家の家業(中国との貿易)を支える堂々たる女主人に。

こうした布引けいの幕ごとの変化は、ただ、戯曲の字面で筋だけを追っていては、想像が及ばない。舞台として演出され、役者によって役に血肉が通うことではじめて、観客の前に視覚化されるものだと分かる。そういう意味での面白さも味わった。

第三幕最後のあの有名なセリフも、じっさいの舞台で聴くと、なるほど、名ゼリフだと納得。


布引けいを演じた松村沙瑛子さんが、よかった。第四幕以降をどう演じるのかも、見てみたかった。


第三幕の子役(知栄・5歳)は、幕が上がると、ゆかたで花火をしている。