「ムサシ」(彩の国さいたま芸術劇場)を観劇 その2


4月2日(木)に、彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで、

「ムサシ」
 (吉川英治宮本武蔵」より) 井上ひさし 作、蜷川幸雄 演出

を見た。


4月2日は、歌舞伎座で四月大歌舞伎 昼の部「通し狂言 伽羅先代萩」の初日を見て、そのあと、夜は「ムサシ」というはしご。幕間込みだが、「先代萩」の通しが4時間55分、「ムサシ」と合わせると、計8時間半余りの観劇となったが、思ったほど大変でもなかった。

これなら、「ヘンリー六世」を3部通して見ても、大丈夫そうだ。ただし、新国立劇場中劇場は椅子が疲れるので、鵜山仁演出よりも、彩の国さいたま芸術劇場での蜷川幸雄演出のにしたほうが身体のためかも知れない。

新国立の「ヘンリー六世」は、けっこう面白そうなキャストだけれど。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000632.html

彩の国さいたま芸術劇場での「ヘンリー六世」は、2010年3月の予定。


「ムサシ」については、最初の観劇のあとに、配役&もっともらしい駄文を書いたので、
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090329/p1
以下は、再見で気づいたいくつかのこと。


「ムサシ」の冒頭の、舟島の場。ここでの、宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(小栗旬)の闘いは、得物の長短によって武蔵が勝ったことが観客にはっきり分かるように、殺陣がつけられている。テレビや映画では、武蔵が高く跳躍するなど、映像として効果的でも、理屈ではちょっとどうかと思うようなシーンが多いが、この舞台では、両者の勝敗を合理的にえがいている

宝蓮寺に現れた佐々木小次郎が、武蔵に果し状を突きつけ、武蔵もこれを承諾するが、その果し合いの日が「8月16日」になっている。8月15日が終戦だから、「8月16日」の両者の戦いは実現しないと読めばいい訳だ(これは反戦芝居だから)。

小次郎が、舟島での闘いを振り返り、時刻に遅れた武蔵を待つ間の苦悩をぶちまける。「生か、死か、(このまま武蔵が現れず)不戦勝か」と、そのときの内心を率直に吐露する件りは、「吉川武蔵」をはじめとする従来の剣豪ものへの作者の批判とも受け取れて、面白い。

第一幕の終わり方は、かなり思わせぶりであり、第二幕が開いてからも、「どんでん返し」への布石らしいシーンが続く。最初の観劇時には、「笑い」に誤魔化されて見えなかったものが、2度目だと見えて来る。その分、素直に笑えなくなるものの、別の発見がある。

舞台下手にある「結界石」。この結界石には、文字だろうか、何か彫ってある。二幕になって気づき、何と彫ってあるか気になったが、双眼鏡を用意していなかったので(カバンには入っていたのだけれど)未確認に終わった。・・・まだ観劇予定はあるが、座席位置からして読むことが出来るかは分からない。

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[追記]
 4月10日昼、11日夜の観劇。http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090412/p1