ミュージカル「冒険者たち」(シアターサンモール)


3月6日(金)に、シアターサンモールで、

ミュージカル「冒険者たち」
(原作:斉藤惇夫、脚本:うえのけいこ、演出:カサノボー晃、音楽:大石憲一郎千奈美、振付:紀元由有)

を観劇。
過去ログのこの↓公演である。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20090112/p1

6時半開演。上演時間、2時間弱。休憩なし。


昨秋の「銀河鉄道の夜」アルタイル公演のときみたいに、プログラムを買うのに長蛇の列に並ばされたらイヤだな、と思っていたが、開演の1時間前にロビー開場、30分前に客席開場という段取りもあってなのか、開演前のグッズ売り場はとくに混んでもいなかった。

プログラム(1800円)と、堀映莉音、中元すず香 両嬢の写真セット(各キャスト3枚セット、500円)を買ってみる。ダブルキャストの子役ふたりは、舞台衣裳がちがっているようだ…(写真やプログラムによれば然りだが、チケットは同じ子の出演回を2回分買ったので、確認は出来ない)。写真は全キャスト16人分販売している。

今度行ったら、缶バッジ付きのネズミ冒険ぶくろ(1000円)か、ポストカードBセット(800円)を買ってみよう(笑)。


客層は若い女性がほとんど。「銀河鉄道の夜」アルタイル公演のときよりもお客さんの平均年齢は若い感じ。子役の女の子を見に来たふうなひとは、私を含めても、1パーセント(あ、でも、別の子はアイドルグループをやっていたから、もう少し多いかも?)。

公演チラシには『小学生以下のお客様には当日スペシャル・プレゼントあり!』と書かれていたが、これは、主役のガンバと写真が撮れる、ということらしい。お申し出下さいとの主旨のロビー掲示があった。けど、小学生が見に来るのかな(来るとしたら出演者のお友だちとかじゃないのか、と思ったりする…)。


足場を組んだような可動式のセットを使って、テンポよく進行し、キャストは総じて、うたや演技をそつなくこなすので、想像していたよりも面白く見られる。ただ、ストーリーそのものは平板で、筋を追う感じ。対立が起きたり、仲間が死んでしまうようなシーンでも、過剰にドラマティックにはならずに、割りとあっさりと進む。カーテンコールも、あとを引くことなく、あっさり終わった。

キャストが客席(通路)に下りて来るシーンが、数回ある。


ガンバは主役の扱いになってはいるが、主役らしく際立つというより、むしろ主役グループの一員にとどまっている。ガンバと知り合って、ともに島ネズミを助けに行く仲間たちにしても、キャラクターのえがき分けはされているが、ひとりひとり(一匹一匹かな)の見せ場、見せ方としてはもの足りない。それは、ガンバや仲間たち主役グループ自体のドラマやバックボーンが薄いために群像劇にはならず、集団劇ふうだからだろう。

ガンバよりも敵役のイタチ・ノロイのほうが役柄としては目立っていたり(最後は迫りを使う演出まである)、主役グループよりも、島ネズミや鳥などを演じるキャストのほうに、役者としてのしどころがある印象もして(たとえば、七郎がいい役だ)、いささか、不思議な感覚の舞台でもある。

出演者のファンのひとが見て、これで満足出来るのかな、と思ってしまったが、特定の出演者を見るというほかに、若い男性キャストが複数集って、サークルっぽいノリで連れ立って冒険に出かける様子を、マネージャー気分で客席から見守るみたいな、そんな楽しさがあるのか…。劇化となれば、原作にあるなしに関わらず、ロマンスを織り込みたくなるものだろうに、この舞台には登場人物(ねずみだけど)の恋愛エピソードはなく、そもそも女性キャストは小学生の子役のみである。


その子役(ダブルキャスト。6日は、堀映莉音)は「シオジ」という役で、ガンバたちに助けを求める島ネズミ・忠太の妹という設定。ソロでうたうシーンもいちどならずあるし、シオジがうたう「早瀬川」というナンバーは、イタチとの戦いで、ポイントとしても使われるので、子役としてはいい役どころ。なにより、キャストのなかではマスコット的なポジションである。立ち位置は、劇中はセンターから上手側が多く、カーテンコールは下手側。


この日出演の堀映莉音ちゃんは、今回の「冒険者たち」が初舞台になるのだろうか。そう思って、彼女の初日を買っておいた。

事務所サイトのプロフィールを見ると、
http://www.amuse.co.jp/artist/hori_erine/
冒険者たち」より前の仕事歴がないので、2006年8月に、アミューズ「お姫様王子様オーディション」の審査員特別賞に選ばれてから、約2年半も経っている。・・・鹿児島県だからなのか。

いずれにしても、舞台ではその初々しさが堪能出来る。


(そういえば、宮武美桜宮武祭姉妹も鹿児島出身。近年、鹿児島を舞台に子役メインの映画もつくられたし、鹿児島あたりは、かわいい女の子の発掘地になっているのかも知れない。宮武姉妹は、「SAMURAI 7」のプログラムには、寮暮らしだと書いてあったが、さて、堀映莉音ちゃんは、中学生になる4月以降、どんな活動をするのかな)


それにしても、満席のお客さんたち、みんな静かに舞台を見ていて、上演中のお行儀のよさにはびっくり。コンサートのように、わーキャー盛り上がったりしたらどうしようと思っていたが(失敬)、杞憂だった。


6日の終演は8時半前で、雨も上がっていたので、紀伊國屋書店に寄って本を買い込んで帰ることが出来た。


(※2度目の観劇後に、少し文章を直しました。3/12)