座・東京みかん第二回公演「どうぶつ会議」「金子みすゞの世界〜浜は祭りのようだけど〜」


11月22日(土)に、杉並区立浜田山会館で、

座・東京みかん第二回公演

を見た。午後5時30分開演。


今年3月に同じ会場で上演された第一回公演(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080401/p1)に続く座・東京みかんの第二回公演。
11月22日に昼・夜、23日に昼公演と、計3ステージ上演された。

演目は、

楽しい音楽劇「どうぶつ会議」
ファンタジー金子みすゞの世界〜浜は祭りのようだけど〜」

  (構成・演出:田辺国武、作曲・演奏:菊地慶太、振付:椎木三奈 中塚智子)


客席に入ると、ずらーと椅子が並んでいたのが、壮観。第一回公演のときより椅子はずい分増えていて、この会場はこんなにお客さんが入るのか、と思った。前方の座席はかなり舞台に近くて、目のやり場に困りそうなくらい(笑)。ステージが低いし、客席部分の床もフラットなので、(最前列以外は)舞台が見やすいとはいえないのだが。
今後、公演を重ねて行く場合、この会場をずっとホームグラウンドにするのか、もっと大きなホールや演劇専用の会場へ進出する意向があるのか、は興味のあるところ。


会場配布のプログラム。キャスト表記は、「金子みすゞの世界」が上になっていたので、てっきり、「金子みすゞの世界」→「どうぶつ会議」の順番かと思ったら、「どうぶつ会議」のほうが先に上演された。「どうぶつ会議」が後だと思ったのでちょっと戸惑った。「どうぶつ会議」の配役を頭に入れるのは休憩時間でもいいと思ってしまい、観劇前の心がけが中途半端になってしまった。渡邊歩美ちゃんは見れば分かるからいいけれど…、ステージごとの役替わりがある配役なので、事前に配役を頭に入れておきたかった。(たしかに、プログラムの表紙やチラシでは「どうぶつ会議」が上になっているけれど…)


音楽劇「どうぶつ会議」(原作:エーリヒ・ケストナー、脚本:井上ひさし、演出:田辺国武)は、かつての若草の卒業公演を彷彿とさせる衣裳や、蛍光白色の道具が登場したり、懐中電灯を使ったりと手作りふうの味わいに、かえって楽しさがある。上演時間も1時間ちょっとで、子ども向けの音楽劇としてよく出来ている。

同時に、いまの感覚からすると、旧さも感じてしまう。動物会議という発想のスケールに対して、動物たちの作戦は牧歌的だし、ストーリーの結末も素直過ぎて、もうひとひねりを期待したくなる(原作があるからそうもいかないか…)。一部劇中ナンバーの歌詞はとても面白くて、井上ひさしらしさが窺えた。

(子役のなかでも小さい子が演じた)手紙を運ぶハトは、もうけ役。街のネコも、おいしい役どころ(ネコ役のひとの声の調子がよくなさそうだったのが残念)。


休憩を挟んで、金子みすゞの世界〜浜は祭りのようだけど〜」(構成・演出:田辺国武)が、45分くらい。

前回(第一回公演)は、少女みすゞ、みすゞ、みすゞの幼い娘に、それぞれイメージキャストを配して、出演者たちがみすゞの詩をうたい、語りながら、詩の世界を伝え、金子みすゞの人物紹介も兼ねるという内容だった。
今回は、ナレーター役の語りと、ミュージカルで活躍する女優を中心にしての進行。上演時間は前回より30分以上短い構成だが、オールキャストが町の人々、子どもたちとして登場し、うたい、踊り、詩の情景を表現するというベースは変わらない。
なかでも「鯨捕り」の群舞の迫力、「あさがお」での子役3人(渡邊歩美、松崎玲海、名達芽依)の愛らしさなどが見どころだった。

この「金子みすゞの世界」には、ミュージカルやコンサートとはまたちがう、独特の魅力がある。構成やアプローチの仕方にはいろいろなバリエーションがあるようなので、また、次の機会を楽しみにしたい。(座・東京みかんは、2009年3月27日〜29日に、第三回公演を行なうことがすでに発表されている)


[配役]

「どうぶつ会議」

<日本のサーカス団>
ライオン:井口智宏、 トラ:永井糸美、 ヒョウ:篠原友樹
シマウマ:鈴木絵里香・園頭沙知(22夜)
カンガルー:三澤莉穂・阪口明子(22夜)
サル:栗原若葉(22昼)・和田優希(22夜)・大作祐衣香(23昼)
ペンギン:篠原光・高橋亜実(23昼)

ピエロ:岡田さゆり、 団長:平野和哉<アフリカの動物>
アロイス(ライオン):鍋谷彩香、 オスカール(ゾウ):鈴木愛
レオポルド(キリン):水澤佳澄・鈴木絵里香(22夜)

モンキーズ(サル):渡邊歩美(両日) 和田優希(22昼・23昼) 高橋亜実(22昼・夜) 大作祐衣香(22昼・夜) 栗原若葉(22夜・23昼)<人間の代表>
将軍:谷本雄太・米本樹(22夜)
教授:山根浩美、 会長:宮澤豊

街のネコ:馬渕ゆい、 ハト:名達芽依・松崎玲海(23昼)

各国の動物たち:
佐々木康二 阪口明子 篠原友樹 鈴木絵里香 園頭沙知 山崎有希子 水澤佳澄 谷本雄太 米本樹 都築保野梨 三澤莉穂 富永禎子 久保真奈美 岡田和郎 西谷紀彦 井口智宏 永井糸美 松崎玲海 名達芽依


金子みすゞの世界〜浜は祭りのようだけど〜」

解説者:丸山ひでみ、 若い女:児玉奈々子

子どもたち:栗原若葉 篠原光 渡邊歩美 和田優希 高橋亜実 大作祐衣香 松崎玲海 名達芽依 都築保野梨 三澤莉穂

大人たち:岡田さゆり 井口智宏 平野和哉 永井糸美 阪口明子 篠原友樹 鈴木絵里香 園頭沙知 鈴木愛子 鍋谷彩香 山崎有希子 佐々木康二 山根浩美 水澤佳澄 谷本雄太 宮澤豊 米本樹 馬渕ゆい 富永禎子 久保真奈美 岡田和郎 西谷紀彦 菊地慶太




余談になるが。井上ひさし脚本の「どうぶつ会議」といえば、むかし、劇団四季が上演したことがあったはず。と思い、上演記録を見たら、1971、1972年と1983年に上演されている。作曲は、いずみたく。71年は富士急ハイランドホールと日生劇場、72年が日生劇場(日生劇場は小学生の招待公演)。83年はNHK夏休みこどもミュージカルとその後は日本自転車振興会などの企画で各都市巡演。
83年のNHKホールでの公演はテレビ放送されたようだ。
http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200998308270130082/