劇団 東宝現代劇75人の会 第23回公演「がめつい奴」を観劇


1日に、東京芸術劇場 小ホール2で、

劇団 東宝現代劇75人の会 第23回公演「がめつい奴」
(菊田一夫 作、横澤祐一 潤色、丸山博一 演出)

を見た。

上演時間は、65分、休憩15分、70分で、トータル2時間半。

公演プログラム(青木玲子 編集)は、無料配布。表紙込み、16ページ。


配役には載っていない青木玲子さんが、終盤に通行人でちらっと出演。観劇後にニュース検索をしたら、スポニチにこの公演の紹介記事が出て、そのなかで、『当初は出演予定がなかったベテラン青木玲子(75)は「記念公演なので出たかった」と、丸山に通行人の役を新設してもらい舞台に立つ。』とあった。
http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20080728spn00m200012000c.html

私が見たのは、Bキャストの公演で、テコは森崎友菜さんだったから、青木玲子さんといっしょに出て来て、ライスカレーが食べたいとかって「放浪記」の行商人の子みたいなことをいっていたのが、都丸愛璃さんですね。子役はテコだけと思っていたのに、ワンステージに子役がふたり出て来たから、かなりびっくり!(知っていたら、もっとちゃんと見たのに…)


プログラムによれば、潤色では、お鹿ばあさんの義弟の役をカットした、とあり、芸術座の舞台では榎本健一が演じた役だというから、1960年の東宝映画では、森繁久彌が演じた彦八という役のことかと思われる。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23193/cast.html

また、劇中歌は「作詞 菊田一夫、作曲 白井あゆみ」とある。これが、子役のテコがうたっていたうたのことだろう。


日延べを重ねて9か月の上演になったという「がめつい役」とはどんな芝居だったのか、テコってどんな役だろう、という興味があって、今回は楽しみな観劇だった。が、見てみると、もうひとつピンと来なかった。
というか、このお芝居がいまでいうロングランになったというのは、どこがウケたのだろう?

土地の権利をめぐる駆け引きと、そこに絡まる人間模様、終幕の、金はあるくせに、がめつく物乞いをするお鹿ばあさんとテコの姿など、面白くないことはないし、後半はテンポもあったのだけれど・・・現代の感覚からすれば、土地を騙し取られてひとを殺す破目になってしまう初枝をもっと主役(ヒロイン)らしく見せるか、そうしないのなら、お鹿ばあさんの側にはっきりとした正義を持たせないと、見終わったときに気持ちがわだかまってしまう。

結局のところ、お鹿をはじめとする皆で、初枝に所有(相続)権があるはずの土地を食い物にして、初枝は土地を取り戻すことも叶わず騙されてひと殺しとなり自首するというのでは、なんだかやりきれない話ではないか。当時のお客さんたちは、この初枝の悲劇や、お鹿の生き様に拍手、共感したのだろうか?

たとえば、お鹿ばあさんのがめついやり口が、結果として、権力者にひと泡吹かせることになるといった展開でもないと、今日では一般ウケしづらいと思った。




なお、公演プログラムに従って、過去ログ(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080610/p4)の配役を加筆・修正しておきました。テキサスの松が丸山博一さんから変更になっていた他、役替わりの配役など。