あの空をおぼえてる


映画「あの空をおぼえてる」を見た。


小学4年生の英治(広田亮平)と幼稚園児の絵里奈(吉田里琴)の兄妹は、買い物に行く途中交通事故に遭い、絵里奈が亡くなる。兄の英治は助かり、退院するが、やんちゃで溌剌たるムードメーカーだった絵里奈の代わりは務まらず、娘を失った両親は暗く沈み込む。

英治は蘇生する前の臨死体験で聴いた父の言葉から、父は自分ではなく妹に生きていて欲しかったのではないかと悩みながら、口には出せない日々の思いを絵里奈宛ての手紙にして書き綴る。これに英治の学校生活、友だち関係のエピソードを加えて、英治の心の内とその成長を見せて行く。主演は竹野内豊だが、実質的には広田亮平演じる長男が映画の中心だ。

絵里奈の出演シーンが、英治が回想する絵里奈の姿、あるいは英治にだけ見える存在であるのが特徴的。写真を別にすれば、絵里奈という妹が兄の記憶と視点から映像化される手法なので、この演出の技巧と、冒頭からの英治の臨死体験とを、すんなり受容出来るかどうかが、見るひとそれぞれの鑑賞と評価のポイントになるのではないか。


主な子役は、他に、松田昂大、佐野剛基、上妻成吾、二階天音、影山樹生弥。(パンフレットは未購入なので、抜けがあったらご容赦・ご指摘を請うもの)


家族が再生する結末だが、大切なものを唐突に奪われた喪失感の深刻さは、映画のストーリーのようには上手く行かないシビアな現実に結びつくこともあろう、との想像にも導かれる。