放浪記(シアタークリエ) 千穐楽


3月30日(日)は、シアタークリエで「放浪記」を観劇。

シアタークリエ公演3か月の千穐楽。午後1時開演。

行商人の子は、今津凪沙。このシアタークリエ公演では、初日も千秋楽も今津凪沙さんが出た。

シアタークリエで8回見た内訳は、今津凪沙さん6回、竹内祐稀さん2回となった。(これで、今津凪沙さんの行商人の子役は、芸術座時代からトータルで10回見たことになる) 今回公演の今津凪沙ちゃんの髪は、同じ三つ編みでも、前髪でおでこが隠れていて、以前とはやや雰囲気がちがっていた。


千秋楽の座長さんは、二幕二場の女給部屋で、椅子の上に置いた灰皿が下に落ちて、さてどうするのかと思ったら、しばらくして、ご自分で拾った。吸い殻を入れないといけないから、拾うのが自然か。三幕の尾道の場では、香取恭助への手土産を持って戻って来たときのセリフがちょっと変だった。

第五幕、落合の家では、菊田一夫との話の途中で、お茶を運んで来た女中の竹が、面会希望の客について注進するところで、お金を補助して欲しいという同人雑誌の若者についてのセリフが止まってかなり間があき、ドキドキした。(私が会いたいのは、むかしいっしょに働いていたお悠起ちゃんやお君ちゃん、尾道で会った女の子だよ、あたりのセリフが飛んだ)

この日の座席は、後方の上手側だったが、前方の座席ではかえって分かりにくいセットの配置が新鮮にも見え、また、後方の席位置だと、マイクを通した座長さんの声はほとんど違和感がないのも分かった(前方の、とくにサイドの席では、マイクを通したセリフの声は、他のキャストのそれと較べて明らかに異なって聴こえていた。有森也実さんもマイク使用だったが)。


黒柳お京さんは、ほかの日夏京子とは目立ってちがう箇所がいくつもあって、それが面白いと同時に(場面によっては)気にもなったが、第五幕の、「放浪記」最後のセリフ、机にもたれて寝てしまったお芙美への「あんたちっとも幸せじゃないんだね」を「あんたちっとも幸せじゃないのね」と語尾を変えていっていて、当初は、セリフを変えていることに気を取られてしっくり来なかったが、このセリフの前、毛布を掛けてやったあとで黒柳お京さんは、何度も芙美子の肩のあたりを撫でるなど、他の日夏京子よりも芙美子への情を強く出している。細かいセリフだけにとらわれずにこの幕全体を俯瞰的に見ることで、なるほどと、うなずける。


この日は、報道のカメラが客席の後ろに陣取っていた他、休憩中に千秋楽カーテンコールがあることがアナウンスされた。

森光子さんおひとりのカーテンコールが通常通り行なわれたあと、千秋楽カーテンコールは、進行役の丸山博一さんが下手緞帳前に登場して、劇場支配人に成り代わり…のお約束のあいさつからスタート。

緞帳を上げるまでの丸山博一さんの話が長かったのと、その理由の推察はすでに書いた通り。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080331/p2
(丸山博一さんは、皆様の前に出るのでといって、四幕三場のルパシカではなく四幕一場の羽織袴姿で、とのことだった)


オールキャストが勢揃いの千秋楽カーテンコール。前列(メインキャスト)の並びは、すでに書いた通り。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080330/p1

子役は、一段上(落合の家の書斎)の下手側にふたり並んでいて、以前のように左右に分かれてはいなかった。


出演者からのあいさつは、中島久之さん、有森也実さん、大出俊さん、斎藤晴彦さん、大塚道子さん、米倉斉加年さん、山本學さん、黒柳徹子さん、森光子さんの順。(前回までは深江章喜さんが出ていたので、青木玲子さんからはじまって11人のあいさつがあったが、今回は9人だった)

黒柳徹子さんは終幕での和服から、前の場の衣裳に着替えてのカーテンコール登場。その衣裳に触れて、出版記念会の場では、襟巻きのしっぽが芙美子の顔を叩いたり、はたきそうになったりしたというエピソードが面白かった。抜けるのは私だけで他の方はこのあとも「放浪記」が続くといい、2009年5月の帝劇公演発表の際には、日夏京子役はまだ決まってない?もしお嫌でなかったら…と来年の出演をアピールしていた。
また、黒柳お京さんの毛糸巻きまきや編み物(世田谷の家の場)は、モデルの人物が編み物をしていたと森さんから聞いての発想、とのことである。


最後は、出演者一同、上手、下手、正面と三方への礼あって、幕。黒柳さんはずい分と客席へ手を振っていた。

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シアタークリエ公演の観劇雑感。
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080326/p2(3/25)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080315/p1(3/14)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080304/p1(2/28)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080303/p1(2/19)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080221/p1(1/31)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080125/p1(1/24)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080108/p1(1/7)

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次回、「放浪記」を見るのは、おそらく、大阪・フェスティバルホール。秋まで待ち遠しいことである。それまでに私ももう少しお勉強が必要(南天堂のこととか)。