「路地裏の優しい猫」を観劇


2月3日に、赤坂レッドシアターで、「路地裏の優しい猫」(作・演出:森岡利行)を見た。日曜日で、2回公演あったが、私が見たのは午後7時開演の回。

パンフレット(プログラム)は、1200円。手さげの袋入り。

例の(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080105/p3)ポスターを買うつもりでいたが、この日は雪と雨に見舞われた一日で、持って帰るまでにぬれてしまいそうなので、やめておいた。


座席の前2列をつぶして舞台(つまり、C列が最前列)にしていたから、座席数は150ぐらいか。
収録のカメラが入っていて、入り口で配布されたチラシによれば、今回の「路地裏の優しい猫」は、3月に特典映像をプラスして、DVDとして発売するとのことだ(税込み、5500円)。


休憩なし。5、6分遅れて開演し、終演が9時16分頃だったから、上演時間は、正味で2時間10分程度。


耳なじみのいいタイトルや、実在の人物(演出家の叔父)がモデルのお話だというのは知っていたが、いざ見てみると、音楽劇仕立てな演出と、女優が演じる「猫」に、まずおどろいた。うたがあるので、この小劇場なのに、一部出演者がマイク使用。

メキシコ五輪でボクシングの銅メダリストになったエイジ(大内厚雄)は一躍ヒーローとなり、プロに転じるが、まもなく網膜剥離を発症、それをおして現役を続けるが戦績は振るわず、引退後の人生も上手く行かない。やがて、妻のカズエ(佐伯日菜子)が小学生の娘ハルコ(黒川芽以)を置いて家を出る。思春期になったハルコは、父エイジや父の恋人ヒロコ(村井美樹)の存在に反発する日々だが、あるとき、路地裏で生きる8頭身の猫アッシ(宮地真緒)と出会い、心を通わせる。

ストーリーは、「いま」のハルコが、路地裏の猫アッシの導きで父や母の過去をたどるかたちで進み、ハルコもいったん小学生になるが、その後「いま」の時間に追いつき、さらに先へと展開する構成。途中に、母カズエの子ども時代の回想が織り込まれたり、また、アッシやフブキ(長澤奈央)&フブキの産んだ子猫シャボン(朝倉えりか)を中心にした猫の世界のストーリーも並行する。こう書くと、一見ややこしそうだが、時制を手際よく処理してテンポよく運び、とてもおもしろい。いわゆる「ベタ」な筋書きではあるのだが、実話に基づくという先入観がいい意味にも作用して、舞台に惹き込まれた。

黒川芽以ちゃんは、なかなか上手い。(こんなにいいなら、むかし芸術座に出たときに見ておけばよかったな) 制服だと着痩せするのか、セーラー服がよく似合うせいなのか、最近のドラマの印象ほど太くも見えないし、ずい分とかわいい。小学生になったときはランドセル姿もあり。刑事が訪ねて来たときの「ケータイ刑事」っていうのが、おもしろかった。

最初と最後に、女優陣が猫になって踊るのだが(エンディングでは黒川芽以ちゃんも)、このために、劇中の猫がコスプレっぽく見えてしまうのが、やや難。猫ダンスなしでもいい舞台だと思うが、どうか。


客席は、男性客の比率高し。で、赤坂RED/THEATERは、座席にひじ掛けがついていないから(前にテーブルはあるけれど)、座っていて窮屈に感じた。

席位置のおかげで、役者が真正面に立つことが多く、ドキドキした(笑)。大劇場だと最前列にいても、こういう感覚はあまりないから、実質150前後のキャパシティならでは。


以下、配役。

エイジ:大内厚雄
ハルコ:黒川芽以

アッシ:宮地真緒
カズエ:佐伯日菜子
カヨコ:街田しおん
ヒロコ、中年女:村井美樹
フブキ:長澤奈央
シャボン、マル、幼い頃のカズエ、セイコ:朝倉えりか

マツナガ:古山憲太郎
セリカワ、カズエの父、近所のオッサン:増本庄一郎
タダトシ:森田ガンツ

サクジロウ、カドクラ:中原和宏
シンドウ、練習生B、キノシタ、ソコロフ:迫田孝也
メリー、オオハシ、練習生A、タドコロ:沖田裕樹
マイキー、練習生C、カドクラの部下:中野雄一
カワシマ、カドクラの部下、医者:酒井一磨
ヒットマン、ニシダ、オオキ:夛留見啓助

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スポニチの記事↓に舞台写真があったので、追記。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2008/02/02/04.html