彩乃ちゃんのお告げ


橋本紡「彩乃ちゃんのお告げ」(講談社、1400円+税)

この小説、面白い。先日、待ち時間のお供にと買った本だが、すぐに読めて、余韻があり、すっかり気に入ってしまった。

著者は経歴を見ると、ライトノベルの出身だが、収録されている3篇は、いずれも中間小説誌(小説現代)に書かれたものだから、一般向けの作品だ。各篇の主人公の気持ち(内面)のえがき方が、簡潔なのに、とても上手い。

小学5年生の教主さまが、かわいい!
その彩乃ちゃんは各篇では主人公を導くバイプレイヤーだが、3篇を通してのメインキャラクターになっている。髪が長いとか、お行儀がいいなどの描写はあるが、教主さまの容姿などを具体的に書いていないのが、いい。読者が、理想の女の子を投影出来る。


(私も、小学5年生の、かわいい教主さまに、お仕えしてみたいな(笑)。宗教って、いい商売らしいからね…。あ、上記の小説は、そんな内容ではありません)


ここから余談だが、いまは、東直己「探偵、暁に走る」(早川書房、2000円+税)を読んでいる。おなじみのススキノ探偵シリーズの新刊。

それにしても、ミステリーや、ハードボイルドが、近年、どんどん長くなる。ときに、新書版(ノベルス)などは、ぶ厚過ぎて手に持っているのが嫌になって来て、読むのをやめてしまうこともある。長編というのも、夜更かしして一気に読めるくらいがお手ごろと思う。