「暗くなるまで待って」を観劇


THEATRE1010で、

「暗くなるまで待って」(作:フレデリック・ノット、訳・演出:青井陽治)

を観劇。
9月16日(日)の1時開演、5時開演の回をつづけて見た。

上演時間は、15分の休憩込みで2時間40分。(ただし、じっさいは、1時の回の終演が3時45分、5時の回の終演は7時50分頃だった)

公演プログラム(表紙込みで28頁)、1500円。公演ポスターは、1000円。

有名な作品だが、映画も見ていないので、この芝居は全くのはじめて。


配役:
スージー彩輝なお
ロート:浦井健治
マイク:須賀貴匡
クローカー:徳山秀典
サム:岡本竜汰
グローリア:黒岩伶奈
警官1:小磯勝弥
警官2:矢野喬之


開演前、幕間のアナウンスが黒岩伶奈ちゃんで、かわいい声が場内に流れる。

スージーと夫のサムが暮らす部屋が舞台で、目の見えない(事故で視力を失った)スージーと、(サムも含めた)その部屋に現れる他の登場人物たち、という配置で展開する芝居。


1階の通路より前の座席、上手側と下手側のブロックからいちどずつ見たのだが、部屋のセットが客席に向かって正対しておらず、斜めになっているため、たとえば、カーテンコールでキャストが舞台に立ったとき、斜めを向いているように錯覚してしまい、少し変な気分だった。

舞台上手にキッチン、窓、上手側の奥に(写真家であるサムの)暗室になる作業スペース、中央奥の高い位置がドア(部屋の入り口)、そこから下手側へ向けて階段、つまり、この部屋は半地下という設定のようだ。下手ソデ側には寝室やバスルームがあるらしいが、これは見せない。

この舞台は、席位置が中央ならば、舞台上の演技や仕掛けの全てがきちんと見えたのだろうか?・・・上手にある窓からは、外を歩く人物が見える仕掛けだが、窓の外は上手側の座席からは見えず、逆に下手の座席からだと、寝室方向(つまり下手のソデ)へ出入りする役者の動きがほとんど死角になっていた。また、テーブルなどが客席からの視線をさえぎる。幸い、両サイドから見たので、2度観劇して状況が掴めたシーンもあった。どちらかなら、前方座席は上手側からのほうがよく見えたはずだ。


目の見えないスージーが、少女グローリアを頼りに、部屋に暗闇を作り出し、何も見えないという条件に敵を誘い込むところが、スリリング。舞台・客席が真っ暗になる場面は、劇場という空間の特性を上手く生かした演出だ。(歌舞伎の「だんまり」というのも、こういう真っ暗闇を前提にしているのだなぁ、と思ったり)

時計の電気まで切っておいたのに、それでいて、まだひとつ冷蔵庫を開けると明かりがつくことを忘れていたなんて!(なんだか、耳にだけお経を書き忘れた「耳なし芳一」の和尚みたいである)


子役のグローリアが、すばらしくいい。観劇日は、1回目のステージのほうが、出来がよかった。
丸いメガネをかけていて、ピンクのタートルネックの服に、赤いチェックのジャンパースカート、白のハイソックス(メッシュで模様が入っている)、黒いストラップシューズ。これに、シーンによって、スタジャンを着ていたり、いなかったり。髪は、左右ふたっつにして高い位置でしばってあった。メガネのせいもあって、知らずに見たら、黒岩伶奈ちゃんとは分からないかも知れない。ルックスのかわいいイメージを扮装でぼかしてあって、ゆえにかえって、グローリアという役や、セリフの印象が際立つ感じ。通りのよい、きれいな声を持っていると思った。


暗転のときの音楽が、どでかくて、けたたましい(のは、プログラムにあるような、演出家の意図が込められていたのでしょう)。

16日の客席は、1時開演の1階席はほとんど埋まっていたが、2階はお客さんが少しだけ。5時開演は、トータルで、1時よりもお客さんは若干少な目。この日は、2回公演ともに、1階席後方にカメラがあって、収録をしていた模様。


「暗くなるまで待って」は、もともと映画よりも舞台のほうが先だったのだね。英題は、「WAIT UNTIL DARK」だとか(そのままだ)。


関連の過去ログ
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20070911/p3