八月納涼大歌舞伎「裏表先代萩」を観劇


昨日、8月16日(木)は、歌舞伎座で、

八月納涼大歌舞伎 第三部「通し狂言 裏表先代萩」を観劇。

午後6時開演。普段の月より短か目の幕間を含めて、3時間25分の芝居。

伽羅先代萩」でおなじみの場である「表」に、小助の大場道益殺しを「裏」として挟み込んだような展開だが、その「裏」の部分が、あまり面白いとは思えない。着ぐるみの犬が出て来るのが意外の感で、ちょっと笑ったが…。

納涼の8月の出しものに相応しいかどうかは別として、普通にというか、じっくり「伽羅先代萩」を見せて欲しいもの。


「御殿」の子役は、8月16日は、鶴千代が下田澪夏さん、千松が吉田聖くんだった。

下田澪夏さんの鶴千代は、セリフの安定感といい、姿勢のよさといい、目線の置き方といい、幼いなりの名君らしさで、まさに一級品。吉田聖くんは、座しているときに、政岡寄り(客席から見て右側へ)に少し傾いて見えたのが気になった(あるいは着付けのせいだったろうか?)が、八汐に懐剣をぐりぐりされるところの、「あ〜〜」の声が微妙に切れ切れになる具合に、なんともいえぬ雰囲気とけなげさがあった。この子が自ら毒菓子を喰らってくれたおかげで、あの、お人形のようにかわいい鶴千代君の身も安泰になるのだ、と思うと、哀しくもあっ晴れかな千松。

猛暑の夏の夜は、この子役競演のひと幕に尽きるのだった。