ラストラブ

過日のこと、シネコンにて、

映画「ラストラブ」を見た。
(藤田明二 監督/上映時間 110分)

映画を包む雰囲気が、それこそ、「ニューヨーク恋物語」な感じだから、続編でもないのに、どことなく既視感をおぼえる作品だ。

ただし、田村正和扮する主人公は、旧来の田村正和的二枚目ぶりと、愛妻家で父親というホームドラマの顔とを融合させたつくりだから、そこに、面白さと背中合わせの、齟齬がなくもない。

小学生の娘(佐和=森迫永依)がいっしょではラブストーリーの結末にはじゃまになるだろうが、だからといって、あんなかたちで子どもを置いたまま死地へ赴くというのは、この映画の設定からするといささかの割り切れなさにつながる。娘がもう少し大きければ分からなくはないが、しかし、それだと、父親と上原結(伊東美咲)の関係をあっさり受け容れてはくれないかも知れない…

また、主人公が泣き過ぎるあたりは、(泣ける映画が流行る)いまを反映してもいるのか。

田村正和のサックスプレイヤーは、微妙に似合わないところがあって、といっても、田村正和というひとは田村正和そのものな俳優だから、どの役でも必ず、どこかしら似合わなく感じる部分が垣間見えるのであり、今回のサックスプレイヤーもまた然りだ。


この映画の森迫(永依)さんは、なかなかいい。大人の映画のなかの「子役」という限定されたポジションにいて、その範疇で、とてもいい芝居をしている。(左手で箸を使う)食事シーンはさりげなく上手いし、わんちゃんとのエピソードは子どもらしい健気さが際立つ。ちびまる子系統の役や、バラエティ番組での表情とはまたちがう、子役としての「腕」が見られる。
父と上原結(伊東美咲)が知り合いだと分かったときの、「ふーーん」というセリフが、絶妙で、味があった。


パンフレット(700円)によると、撮影は、2006年9月30日〜10月27日に国内、11月2日〜8日にニューヨークロケ。


・・・それにしても、「わんちゃん」が、かわいい。