映画「フラガール」

フラガール」を見た。
フラダンスの「振り」には、ひとつひとつに意味があって、踊りが手話のようになっている、というのは、この映画を見て知ったことのひとつ。
常磐ハワイアンセンターがオープンするときの実話に取材した映画だから、着地点は見る前から観客の予想の内。その結末へ向けての展開も、きっちりと「ありがちな」常套を踏んでいる。成功までの道のりの前には、幾つかの越えるべき難題。親子の確執、主人公をフラダンスに誘った親友との別れ、炭坑の落盤事故、寒さで枯れそうになる熱帯の樹木。そして、いわくありげな余所者のダンス教師は閉鎖的な炭坑の町に受け容れられるのか…。
クライマックスのダンスシーンは圧巻で、心揺さぶられる。フラダンスと聞いて、いささか偏見を持っていたが、はじめて、その魅力のほんの一端なりとを垣間見た思いがした。(オープニング当時の振り付けを、出来るだけ再現したという)
最近のメジャーな日本映画は、この手の、予定調和な感動的結末へ向かって、分かりやすくエピソードを積み上げて行くかたちの、起承転結あるいは序破急のはっきりした構成が定着して来たのか。この「フラガール」、無駄なエピソードや嫌なシーンがなく、テンポのいい映画の流れに身をゆだねていれば、気持ちよく感動して劇場をあとにすることが出来る。

中浜奈美子ちゃんは、白いスカーフのセーラー服と、バスのなかでの表情がかわいい。
子役は、池津祥子さんの息子役が鈴木寛弥くん。徳永えりさんの妹弟役が、小野愛莉ちゃん、高橋朗くん、畠みゆうちゃん。
レッスンシーンで、松雪泰子さんが杖を持っていたのが、マダム・ジリーみたいで面白かった。
エンディングのテロップによると、40年の間に、常磐ハワイアンセンター(現・スパリゾートハワイアンズ)の舞台に立ったフラダンサーは、318人だそうな。