「弁慶」の玉虫、今参りが出色!

7月、新宿コマ劇場は、松平健主演「弁慶/唄う絵草紙」(〜27日まで)を上演中。

公演プログラム、1000円。

タイムテーブルは、
「弁慶」一幕、1時間20分
  (25分)
「弁慶」ニ幕、1時間05分
  (30分)
「唄う絵草紙」、35分


子役は、お芝居の「弁慶」のみの出演。
一幕で(のちに弁慶の妻になる)玉虫の子ども時代を、二幕では弁慶と玉虫の娘今参り。この二役を、渡邊歩美・松浦結帆ダブルキャスト
一幕で弁慶と玉虫の再会のきっかけになる迷子の女の子あこめを、片岡芽衣・松岡瑠奈ダブルキャスト

4人とも、いわずと知れた、大歌舞伎や東京圏の大劇場でおなじみの名前。

(観劇した13日に出演していた)渡邊歩美ちゃんの玉虫、今参りが出色である。今夏、子役が出演する舞台はたくさんあろうが、この子がいちばんといい切っても外れることはないだろう。

着物が似合って、時代ものの子役にふさわしい挙措、口跡のよいセリフ、観客ごころをくすぐるかわいい笑顔。「舞え舞えかたつむり」と、今様をうたうところも、愛らしく上手!
行儀のいい演技が、見る者の胸をうつ。

最近では、5月の明治座長崎ぶらぶら節」で主人公の子ども時代を演っていた他、大歌舞伎にも出ているが、今回はいい役を得て、子役として花開いたという印象。


この「弁慶」は、いわゆる「勧進帳」の安宅の関のシーンをクライマックスに据えた構成だが、私はむしろ、弁慶と玉虫、今参りの親子の対面と別れをえがいた、(第二幕の)山科の場こそ、最高の見どころだと思う。

松平健座長がプログラムのインタビューで、夫婦の絆、家族の絆が今回のテーマ、と語っているが、そのねらいは成功している。今参りの渡邊歩美 嬢がいいこともあって、ほろりとさせる。


私が見た回は、11時開演で、「唄う絵草紙」が終わったのが、ちょうど3時だった。
最後の、マツケンさんのあいさつ、というか宣伝がけっこう長い。


3月の御園座公演からの、主要キャストの異動は、

玉虫: 平淑恵 → 紺野美沙子
金売・吉次: 松山政路 → 園田裕久
伊勢三郎: 園田裕久 → 真砂皓太
片岡経春: 真砂皓太 → 井上高志(御園座では佐藤忠信)

・・・玉突きでの配役変更から、この舞台における役柄の序列が察せられる。